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負傷
その後も戦いは続いていた。
戦況は、一進一退で進んだ。
が、ガリア騎兵を破ったヌミディア騎兵がローマ軍の一翼を突破し、さらに後方深く突き進み、退却中の投槍兵に追い付くと、これを思う存分に駆け散らした。
「わあ!」「ひい!」
歩兵としての戦闘訓練も充分に受けていない投槍兵、勇猛なヌミディア騎兵相手にまともに戦える筈もなく、次々突き伏せられた。ただただ逃げ惑うだけだった。
「止まれ!」
騎兵隊司令官マハルバル、騎虎の勢いの味方を制止した。
彼が狙うのは、こんな小魚たちではない。
馬首を巡らせると、剣を高々掲げ命じた。
「ローマ騎兵の背後を衝け!敵の大将スキピオを討ち取れ!末代までの誉れを輝かせ!」
「おおおっ!」
ヌミディア騎兵は雄叫びを挙げて応えた。
一斉に反転すると、ローマ騎兵隊の背後に真っ直ぐ迫った。
ローマ騎兵はカルタゴ騎兵と激しく斬り結び、一歩も引かず頑強に戦っていた。
が、背後から襲来する強敵を知ると、大いに狼狽した。
「ああっ!ヌミディア騎兵だ!」
「背後から攻め寄せてきたぞ!」
それまでは、落馬しても歩兵となって頑強に戦い抜いていたローマ軍であったが、前後をカルタゴ騎兵とヌミディア騎兵に挟撃され始めるや、苦悶を露わにした。彼方此方の隊が、どっと崩れ立った。
ローマ軍は四分五裂し、みるみる潰乱していった。
もはや、勝敗は明らかとなった。
執政官スキピオは、自ら槍を懸命に振るい、その槍が折れるや剣に替え、奮戦に奮戦していたが、刻々と旗色の悪くなる戦況に、苦さを面に見せていた。
(く…戦機を逸したか…)
スキピオは無念であった。
ハンニバル出馬を知った初めの混乱がなければ、もう少し、互角の戦いを展開できたものをと残念であった。
が、もう追い付かない。
(この上は退却し、態勢を立て直し、再戦に臨むよりほかなし)
「コンスル閣下!一旦ご退却を!」
忠実なる彼の副官マルキウスが叫んだのを良い潮に、スキピオは馬首を巡らせ、血路を求め、僅かな兵を率いて馬を走らせ始めた。
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