|
※両軍の当初の隊形は4月23日分を御覧下さい。
https://novel.blogmura.com/novel_historical/ にほんブログ村
↑
ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)
カンネーの戦い−ハンニバルの深意(続き)
こちらカルタゴ軍の本陣。
ガリア兵のすぐ後方で、総司令官ハンニバルが戦況を見詰めていた。
ガリア兵が算を乱して逃げて来る。
「総司令」
弟マゴーネが気を揉むように言った。
「ガリア兵の隊が崩れました。急ぎ後詰めを繰り出さねば…」
「その必要はない」
ハンニバルは、いつもの静けさの中にあった。
「このままでは敵兵はここにやって参りますぞ」
「我が兵は、なすべき事を自ずと知るであろう」
ハンニバルはそう言った。
「自ずと…それはどういう意味にございます?」
「間もなく分かる。見ていよ」
ハンニバル、隻眼を僅かに細めた。
ガリア兵の三日月の隊列が、押し寄せるローマ軍の重圧に崩壊するとガリア兵は左右へと逃げていった。当然、中央が開かれる形となる。
「それ!敵のど真ん中が綻んだぞ!」
隘路に鉄砲水が押し寄せるかのように、ローマ兵は中央の一点に殺到した。
確かに、中央突破は勝利と同義であるから、ローマ兵がそう動くのは至極自然。
だが、まさにその展開こそ、ハンニバルの待つものであった。
それまで戦闘に参加していなかった、左右両脇のリュビア人重装歩兵が当然のように真ん中に向き直った。そして、合図もないのにリュビア人歩兵は戦闘に入った。自然と左右から挟撃する格好となった。
つまり、戦闘の展開が、自らが何をなすべきかを教えたのである。
だが、まだまだローマ兵の勢いは止まらない。敵の中央が綻んでいることに変わりはないからだ。
「リュビア兵など目にくれるな!ハンニバルを討て!」
パウルスは叫んだ。
そう。敵陣深く攻め入ったローマ兵の目には、威風堂々馬上にあるハンニバルの姿を捉えることが出来た。
敵を間近にして、ハンニバル、手を大きく上げた。
中央後方にあったカルタゴ人重装歩兵が前進を始めた。
|