新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

※両軍の当初の隊形は4月23日、その後の展開は5月14日の分を御覧下さい。

https://novel.blogmura.com/novel_historical/ にほんブログ村

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)



 カンネーの戦い−包囲撃滅戦(続き)
 この頃から、戦況は明らかにカルタゴ優位へと変じ始めていた。
 対して、ローマ軍の重装歩兵たちは俄に恐怖を見せ始めていた。
「我らは四方全て包囲されている」
 そのことを認識した途端、絶体絶命の危機に陥ったと知覚した。そして、ローマ兵から勇気を奪い去り、戦意を喪失せしめ、人間元来の臆病に囚われる。



 ハンニバル軍の包囲の鉄鎖は急激に収縮した。
 今や、執政官パウルスの周囲には、リュビア人重装歩兵が殺到していた。
 豪華な執政官の軍装が、格好の標的となったのだ。
「それっ!敵将を討ち取れ!」
「敵将パウルスを討ち取れ!」
 千載一遇の機会に、彼らは餓狼のように群がった。
「おのれっ、リュビアの野蛮人めが!」
 パウルスは奮戦に奮戦していたが、リュビア兵は、濁流のように押し寄せた。
 そして。
 無数に繰り出される穂先の一つが、彼の体をずんと突いた。
「うっ」
 パウルス、たまらずどうっと落馬した。



「あっ、コンスル閣下!」
 プブリウス、馬から飛び降り駆け寄った。
 慌ててパウルスの上半身を抱き起こした。
「閣下!しっかりなさいませ!」
「…我が婿よ。余はこれまでだ」
 パウルスは僅かに笑った。
 その顔色はみるみる土気色へと変じていく。
「何を仰せになられます。すぐに後方へ御連れいたします!」
「この状況では…それは無理だ」
 周囲では、ローマ兵が身を盾に、必死に防戦している。



「な、何を仰せになられます」
 プブリウス、今にも泣き出しそうだった。
 彼にも分かっていた。迫り来る悲しい現実が。
「これを…」
 パウルスは、震える手で、『星天の剣』をプブリウスに渡した。
「閣下…」
「これはやはりスキピオ家のもの。次代の当主であるそなたが志を遂げよ」
「そ、そんな」
「我が娘アエミリアと我が息子ルキウスに告げよ。そなたらの父は、勇敢に戦い、祖国への崇高な義務を果たし、あの世へ旅立ったと…」
 それだけを言い終えると、パウルスは、がくとうなだれた。
「コンスル閣下!」
 プブリウスの呼びかけに、パウルスが応えることはもうなかった。
 紀元前216年8月2日、ローマの執政官ルキウス・アエミリウス・パウルスは、カンネーの地において戦死した。ここに、また一人、ローマの英雄が倒れたのであった。

全1ページ

[1]


.
アバター
Dragon
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

Yahoo!からのお知らせ

友だち(3)
  • ダイエット
  • 時間の流れ
  • JAPAN
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事