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大平原の戦い−正攻法(続き)
紀元前203年夏。
大平原は、さわさわと草の靡く音のみが響いていた。
スキピオは、すらりと剣を抜いた。
宝石のちりばめた抜き身は、あたかも生命を得たかのように、きらきら輝いた。
「ウェリテス、前へ!」
序戦は、軽装歩兵同士の飛び道具の応酬。
ウェリテス(初年兵)が駆け足で前進し、横数列に隊列を整える。
「構え!」
一列目の兵が、ピルム(投擲用の細身の槍)を手に、大きくふりかぶった。
「放て!」
ぶうんと唸りを上げ、それは放たれた。
「わあ!」「ぎゃっ!」
最前列に居並ぶカルタゴ兵がばたばた倒れた。
「ええい!こちらも撃ち返せ!」
ジスコーネが怒鳴った。
バレアレス投石兵の石つぶてが一斉射撃された。
まさに、それは古代の弾丸。
「ぎゃっ」「うわっ」
ローマ兵は、血しぶきを上げ、ぶっ倒れる。
「負けるな!もっと撃ち返せ!」
スキピオも怒鳴った。
ウェリテス兵は、入れ替わり立ち替わり、ありったけのピルムを敵兵目がけぶんぶん投擲した。
やがて、投擲・射撃の応酬を繰り広げていたウェリテスとバレアレス投石兵は、後方へ退いていく。軽装歩兵の役目は序戦のみ。あとは後方で控え、味方の危機に備えるのだ。
ピルムが止むと、ジスコーネが前方に馬を駆って来て命じた。
「ケルト・イベリア兵を進ませよ」
この戦いで頼りにするのは、この傭兵軍団。
というのも、歩兵の戦闘力ではカルタゴ兵もマサエシュリ兵も、到底ローマ兵の敵ではない。彼らが中央で支えている間に、得意の騎兵の戦闘力で、両翼のローマ軍騎兵を破り、転じてローマ歩兵を挟撃して蹴散らす、これが彼らの思い描いた筋書きだ。
そのケルト・イベリア兵は、盾を剣で打ち鳴らしながら、意気揚々進み始めた。彼らも、野戦には無類の自信を誇る。
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