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母なる都市(さらにさらに続き)
「大丈夫です」
今度はハンニバルが断じた。
「スキピオの要求は以前の線のままでしょう」
「そなたはマグネシアの合戦前にそのように申した。が、そんなことが果たしてあるのか?」
勝利すれば要求が吊り上がるのが世の常。あの大勝利を経た後もローマの要求が変わらぬというのが現実問題として信じられない。
「それがスキピオなのです」
ハンニバルは隻眼を僅かに細めた。
「むしろ敗北しても要求は取り下げぬことでしょう。逆に勝利したからとて要求を吊り上げぬ。それがスキピオという男なのです」
「ふうむ…」
「ここは彼を信用して差し支えないかと存じます。速やかに和平を図られますよう」
(英雄、英雄を知る、か…。スキピオとハンニバル。史上稀に見る英傑のようだ)
返す返すも、この者をもっと重用しなかったのが悔やまれる。
大王は頷いた。
「分かった。下がってよい」
「ははっ」
ハンニバルが下がっていくと、大王は、王族のアンティパトロスとリュディア総督ゼウクシスを呼びつけた。
「そなたたちは直ちにここを発ち、サルディスに向かえ。スキピオ・アフリカヌスと協議し、和議を取り結ぶよう取り計らえ」
「はっ」「ははっ」
「ハンニバルとその配下マニアケスによれば、スキピオは和平を望んでいるとか。だが、同盟諸国はどう考えているか分からぬ」
確かに、ペルガモンやロードスからすれば、この際叩くだけ叩いて、多くのものを得ようというのはありがちであるし、それが戦勝国の勢いというものであろう。マグネシアで完勝していることであるし。
「妨げるとすれば、ペルガモン王エウメネス」
エウメネス二世は、かつて父アッタロス一世が広げたタウロス以西の領域の再復を念願している。
「彼の意向をまずは充分に探り、その上でスキピオとの会議に臨むように」
「ははーっ」
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