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アルテミス神殿(さらに続き)
「ふーむ…」「これは珍しい」
兄弟が女神像に近づき、まじまじ眺めているその時であった。
突然、白い煙が辺りに立ちこめ始めた。たちまち内陣一杯に広がっていく。
「な、なんだ」
ルキウスが驚きの声を上げた。
「リクトルを呼ばねば…」
「うろたえるな」
制したのは兄スキピオ。
「ほほほ。ローマの英雄たちよ、ようこそこの社に」
煙の中から女の声が反響した。
「現世の英雄といえども、所詮、大地の子。神々の摂理に抗うことは出来ませぬ」
諭すような語調であった。
古来ギリシアの神々はお節介で知られる。トロイ戦争では、オリュンポスの神々は、ギリシア軍とトロイ軍のいずれを応援するかで対立し、自分のひいきする軍や戦士を応援したとされる。だから、今や地中海最大の国家となったローマの指導者の前に現れるというのは、物語の筋としては、あり、なのだが…。
「これは…」
ルキウスは驚愕した。
アルテミス女神の降臨と思ったのだ。
「ふふふ、はははは」
兄スキピオは哄笑した。
「兄上、不敬ですぞ。アルテミスに対して」
「何がアルテミスなものか。奴が来たのだ」
「やつ?」
スキピオは周囲を見回した。
「もういいから出て来い」
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