新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]


[https://novel.blogmura.com/novel_historical/ranking.html にほんブログ村 歴史・時代小説]

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)


 名将問答(続き)
「わざわざそのことを伝えるためにここへ?」
 スキピオは訝し気に訊いた。
 身柄引渡を要求している敵将の、今後の行く末を気遣っているのだ。




「ふふ」
 ハンニバルは隻眼を細めた。
「そなたは私の得難き好敵手であった。また、ザマの後には寛大に遇してくれた。これぐらいのことはしておくべきだと思ったのだ」
 ザマの敗戦後に思いがけぬ寛容を得たのだから、それに匹敵する恩恵を与えねば面目が立たぬ、といういかにも名将らしい負けず嫌いなのであろう。
「なるほど…御忠告ありがたく心に留め置きましょう」
 スキピオは微笑んだ。




「私からも、一つ、あなたに訊きたいことがあるのです」
 今度はスキピオが口火を切った。
「何かな」
「古今の武将で、あなたが認める者たちです」
「ほう…」
 ハンニバルは、隻眼をスキピオの顔へ向けた。
「あなたは、世界史に通じ、また我がローマの勇者たちと戦い続け、幾度も勝利を収められました。あなたの評価を、恐らく歴史家も拝聴したいと思っておりましょうからな」
 そんな風に言ったが、スキピオも強烈な関心を持っていたに違いないのだ。そして、自分の位置も知りたい、と。これは、武将としての本能に近い好奇心であろう。




「第一はアレクサンドロス」
「やはり」
「彼は、辺境の一王国マケドニアの王であったが、マケドニアとギリシアの寡勢を率い、百万の大軍を擁するペルシア帝国に戦いを挑み、それを滅ぼし、インド亜大陸にまで進んだ。そして、ヘレニズム文明の基を建設した。その功績、人類史上誰にも真似出来ぬもの。第一の英雄の名に値しよう」
 この時代、この点については誰の異論もなかったろう。それほどアレクサンドロス大王の威名は世界に轟いていた。将たる者の憧憬の対象であったのだ。




「…では第二は?」
「第二はピュロス」
「ほう」
 スキピオは意外な面持ちをした。
「ピュロスは、若年の折、イプソスの戦い(紀元前301年)で縦横無尽に働いたものの捕えられた。が、その後も尊厳を保ち、見事エピロス王に復した。そして、小国の王にもかかわらず、イタリアに進攻、そなたのローマと互角以上に戦い、我がカルタゴとも戦い、さらにはシチリア全土を一時とはいえ平らげた。その類希な戦略、戦術眼はアレクサンドロスに次ぐものと評価できよう」




「ふーむ」
 スキピオは唸った。
 ピュロスに対する高い評価は異論もあるのではないか。
 確かに、戦術の天才と評された彼であるが、終生まともに確保した国土はエピロスのみ。イタリア遠征は大失敗に終わり(第四章)、アンティゴノス王朝から奪い取ったマケドニア王位は、彼の死と共に奪い返されてしまった。
 優れた戦術家ではあっても優れた戦略家ではなかった、そう評価出来る人物だ。

全1ページ

[1]


.
アバター
Dragon
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

Yahoo!からのお知らせ

友だち(3)
  • 時間の流れ
  • JAPAN
  • ダイエット
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事