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ローマ講和会議−エウメネス王の深謀遠慮(さらに続き)
「忘れて頂きたくないのは、私は、あなた方ローマ人との友誼の深さにかけては誰にも引けを取らぬと自負していること。我が父アッタロスは、終生あなた方と共に戦い、テバイにてローマに味方するよう呼び掛けている最中に倒れました」
議場は静まり返った。
第一次マケドニア戦争は、一進一退が続いた。その頃よりペルガモンはローマの熱心な同盟国であった。
「私も、アンティオコスより、娘を嫁がせるゆえ味方につくよう、領土も与えよう、望みも全て叶えてやろうという誘惑を振り切り、ローマの味方であり続けました」
「都を包囲され、一時は王権すらあわやという事態となりましたが、貴国との信義を思い、堪えて参ったのでございます」
王は四方を見回した。
誰もが王の次の言葉を待っていた。
「私の信義に偽りなきことは、あなた方自身の目で確かめたのであり、誰もが知っていることであるから、相応の配慮があるのは当然と思われる。あなた方は、マシニッサのような、かつては敵であり、少しばかりの騎兵を伴って現れた男にすら、アフリカの王位を与えているのだから」
「では、私が求めているものは何か」
王は息を大きく吸い込んだ。ここからが本題。
「このたび獲得したタウロス以西の土地を、貴国がそのまま保持するというのならば、どうかそのまま保持して頂きたい。それに隣接する我が国は、貴国の権勢に与ることが出来るのであるから」
要は、タウロス以西のアジアをローマ直轄領とするのならば、それでもよいと言っている。だが、それが彼の本音ではないのは明らかだ。
「が、アジアから引き揚げるというのならば、このたびの戦いがもたらした戦果をあなた方から受け取る権利を持つのは、他の誰にもまして私でなければならない、と思う」
「諸国の自由独立、これは麗しいこと。だが、タウロス以西の諸都市は、アンティオコスと手を組んでローマに刃向かったのである。彼らに恩恵を施すよりも、真の友人に感謝を示すことの方が、ローマにとって遥かに立派な振る舞いと思われる」
控えめな物言いだが、それは明らか。ローマがアジアを直接支配するつもりがないのであれば、タウロス以西をギリシア人諸都市も含め寄越せと言っているのだ。
元老院は、エウメネス王の堂々たる演説を称賛した。
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