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アイトリア最後の抵抗(続き)
新執政官ノビリオル率いるローマ軍はエピロスに上陸すると、エピロスの支援を受け、アイトリア同盟に加盟するアンブラキア(現アルタ)の攻撃を開始した。
「敵はアイトリアの烏合の衆、一気に攻め潰せ!」
攻城戦はローマ軍の得意。攻城機具を据え、四方より攻め立てた。
だが、アンブラキアはかつてピュロス王が都を置いた地である。蛇行する川を盾に、背後は湖と、堅固無類な城塞都市であった。しかも、立て籠るアイトリア兵、アンブラキア兵いずれも士気旺盛。
城壁に接近することすら困難を極めた。
「坑道を掘れ!城内に一気に突き進むのだ!」
ノビリオルは叫んだ。
土木国家ローマの本領発揮。どんどん穴を掘り進む。
だが、アンブラキア側も黙っていない。城壁沿いに溝を掘り、その底に薄い青銅板を立てかけた。そして、溝の中を歩き回り耳を澄ませた。すると、特定の青銅の板周辺が、かたかた震え始めた。
「よし。敵はこの方角から掘り進めて来るぞ」
この青銅板は、地中から攻め寄せる敵の進路を探知するもの。戦い繰り返すアイトリア、こういった戦闘に関わる技法は発達していた。
「よし、こちらからも掘り進めるぞ」
アイトリア兵はせっせ掘り進め、やがて、轟音と共に両者の坑道は遭遇した。
「あっ!アイトリア兵だ!」
ローマ兵は仰天した。
そこにアイトリア兵は一散に突進した。
とはいえ狭い坑道の中。押し合いへし合いという様相となった。
坑道の中の小競り合いは数日続いた。
坑道の遭遇はローマ軍にとって意外であったが、坑道がつながったことは望外の幸いでもある。
「掘る手間が省けたぞ」
ということで、ローマ兵は連日、坑道の中で挑戦を続けた。
「お、今日はアイトリア兵がいないぞ」
が、視線を凝らすと、黒い円盤状のものが進んで来る。
「何だあれは?」
それは大きな甕(かめ)であった。
「どういうつもりだ」
ローマ兵は近づくと、その甕の蓋から筋状の煙が吹き出て来た。
「うっ」「あっ」
それは強烈な刺激臭であった。息苦しくなり、目も開けられない。
「ごほごほ」「げほげほ」
ローマ兵は激しく咳き込んだ。戦うどころではない。
これは古代版の化学兵器。甕には小さな穴がたくさん開けられており、甕の中に羽毛を詰め込み火種を仕込み、質の悪い煙を発生させるというもの。
いやはや、こういう知恵がよくもまあ出て来るものだ。
「よし!ローマ兵を押し返せ!」
呼吸困難に陥ったローマ兵は戦意喪失、坑道の中を一目散に駆け戻るしかなかった。
ローマ軍とアイトリア軍との攻防は膠着した。
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