新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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↑※シデ(現トルコ・アンタルヤ)のアポロン神殿の遺跡です。This file is licensed under the Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 Unported license.

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 エウリュメドン河口の海戦−下(さらに続き)
「閣下!背後より敵艦隊です!」
 フェニキア兵が叫んだ。
「なにっ」
 振り返った時には、迂闊にもロードス兵の形相が確認出来るほどに接近していた。
「これはいかん」
 アポロニオスは狼狽した。
 なにせエウダモスの船団包囲に夢中になり、殆ど横一列の状態になっていた。そこを背後より衝かれてはひとたまりもない。




「方向転換せよ!後方に向かうのだ!」
 漕手に命じ、慌てて舳先を後方へ向き直そうとした。
 が、それを待つほどロードス人はお人好しではなかった。むしろ、方向転換しようと横向きになったのを幸い、その船腹目掛け舳先をぶつけて来る。
 轟音と共に船腹がばりばり破られる。
「うわああっ!」
 甲板のフェニキア兵はよろめいた。




「それ!敵船を分捕れ!」
 パンピリダスが叫んだ。
 ロードス兵が剣先を閃かせ、次々飛び込んで来る。
「海に叩き落とせ!」
 フェニキア兵も勇敢に立ち向かった。
 甲板の上は、たちまち激闘となった。
 フェニキア兵は奮戦したが、四方より躍り込まれた船は次々と分捕られていく。また、あちこち突っ込まれて、アポロニオス艦隊の船列は寸断されてしまった。こうなっては、海戦の経験に乏しいアポロニオスには手の施しようがない。
「いかん!退却だ!退却せよ!」
 度を失ったアポロニオス、味方の船を置き去りに、東に向かって退き始めた。




 アポロニオス艦隊の敗走に伴い、当然のことながら形勢は逆転した。
 窮地にあったエウダモスの船団は反転し、再びハンニバル艦隊に向かって突き進んだ。さらに、パンピリダスの艦隊が、西側から回り込もうとするのが見て取れた。南と西から包み込もうとしているのは明白であった。




「閣下、このままでは今度は我らが包囲されてしまいます!」
 マニアケスが矢を応射しながら叫ぶと、ハンニバルは静かに頷いた。
「もはやこれまで。シデまで退却せよ」
 静かに命じた。
 ハンニバルの旗艦は、エウダモスの船団の執拗な追撃を振り切り、シデへ逃れることが出来た。だが、逃れることの出来た軍船は半数であった。残りの半数は撃沈され、または捕獲されてしまったのである。
 こうして、エウリュメドン河口の海戦は、ロードス艦隊の勝利に終わった。古代史を彩った二つの海戦は、いずれもギリシア人の勝利と記されることとなったのである。

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