新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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※↑小アジア西岸の地図です。「歴史3」ポリュビオス著(城江良和訳)京都大学学術出版会、からの引用となります。

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 ミュオンネソスの岬 
 紀元前190年秋。
 ポリュクセニダス艦隊は、キオス島と大陸の海峡を慎重に通過した。
「敵艦隊の待ち伏せはないか」
 ここは昨年海戦の行われた場所で、苦杯を舐めていた。
 幸い損害は軽微で、その後のサモス島で、ロードス艦隊を罠にはめ潰滅に追い込んでやったが…。




(エウメネス王もなかなかの海戦の将だからな…)
「提督、敵艦隊はどこにも見えませぬ」
 副官ニカンドロスが答えた。
「よし。ならば進め」
 大艦隊は、ざざあっと白波を蹴立てて、堂々進んでいく。




 ポリュクセニダス艦隊は海岸沿いに進み、イオニア地方の都市テオスに寄港した。ここに大王軍の兵糧が備蓄されていたからだ。
 兵糧補給と並行して、上陸した彼は、早速ある策を施しにかかった。
 有力市民を集め、提督はこう言った。
「諸君、喜べ。敵船の略奪は勝手ぞ」
 豪放に笑いながら略奪許可を宣言した。
「それは…ローマの船、ロードスの船から何を奪ってもよい、ということで」
 長老たちがおずおずと聞いた。
 当時の船乗りたちの少なからぬ者が海賊業に手を染めていた。何しろ、勝者絶対、人権観念の乏しき時代ゆえ、罪悪感がない。手っ取り早く稼ぐ手法であったのだ。




「ペルガモンの船もだ。存分にいたせ。敵はいずれも裕福な国々ばかり。装備は豪華だ。財を築く絶好の機会だぞ」
 提督は煽り立てた。
 彼も船乗りロードス出身。船乗りの気質など全てお見通しだ。
 一攫千金を目指す者、貪欲な者が多いこと、全て知っていた。
「おおお!」
 市民たちから歓声が沸き起こった。




(ふふふ、これでよし)
 提督ポリュクセニダスがほくそ笑んでいると、
「提督!」
 水兵の一人が走って来た。
「どうした」
「あの女将軍が来ました」
 水兵はそんな風に言った。なにゆえか顔を紅潮させている。
「ああ。あの妖女か」
 提督はにやっとした。




 それは、ハンニバルの懐刀マニアケスのことであった。
 ハンニバルから書信が届き、こう記されてあったのだ。
『それがし、パンピュリア地方に閉じ込められ、迂闊に動きもなりませぬ。それゆえ、信頼のおける者を送りますゆえ、提督閣下の情報収集にお役立て頂きたい』
 ハンニバル艦隊は、パンピリダス率いるロードス艦隊の妨害で、ケリドニアイ群島を越えることが出来ず、ずっと立ち往生していた。エウダモスの作戦が的中していた。

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