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ミュオンネソス前哨戦
法務官ルキウス・アエミリウス・レギルス率いるローマ艦隊は、ポリュクセニダス艦隊を追う形で、キオス島と大陸の海峡に差し掛かった。傘下にはイタリアの同盟国、そして、カルタゴの軍船を従えていた。
「丹念に調べて参れ」
レギルスは小船隊を斥候に先行させた。ここらは海岸が複雑に入り組み、小島が点在する海域。どこに敵艦隊が伏せているか分からない。慎重を期さねば思わぬ奇襲を受ける。
「プラエトル閣下!」
先遣隊の小隊長が戻って来た。
「どうであったか?」
「船団がいました!」
「なに、ポリュクセニダス艦隊か」
レギルスの周囲はすわとなった。
「いえ…。軍旗が違うようでした」
大王軍の船には『ヴェルギナの太陽』をあしらった軍旗が掲げられている。
だが、その船団は旗魚(かじき)をかたどった旗が掲げられているという。
「それは海賊どもでしょう」
そう言ったのはミルトであった。
スキピオの伝令としてペルガモンにあるレギルスの許に来て、そのまま今回の南下作戦に同行していた。レギルスの耳目として役に立て、ということだ。
「敵は海賊まで狩り出したか」
「は。ポリュクセニダスの配下ニカンドロスは素性を正せば海賊。その呼び掛けに応じた者や、テオス市民など沿岸諸市の船乗りたちでしょう」
「ふむ…」
法務官の目許に苦笑いが昇って来た。
「海賊ならば退治しておかねばならんな。まずは小船隊を組ませ向かわせよ」
「ははっ」
ラッパの音が鳴り響き、三隻ほどの船団のみが先行し、海賊船団に向かっていく。
全艦隊で向かえば、相手は海賊、逃げ出すに違いないからだ。
レギルスは、その他の艦隊を率いて、近くの入り江に隠れた。
案の定、ローマの軍船と海賊船の交戦が始まった。
「思いもがけぬ獲物」
この頃のローマの軍船は、装備が豪華、戦利品として申し分ない。また、兵糧金銀も蓄えられ、捕えた船員は奴隷として売り飛ばすことも出来る。
「それ!捕獲してしまえ!」
が、海賊船が夢中になって目の前のローマ軍船を取り囲み捕獲しようとしている最中、四方よりレギルス率いるローマ艦隊が迫って来た。
「あっ!いつの間に!」
海賊たちは仰天した。
「それっ!人倫犯す悪逆無道の海賊に情けは無用ぞ!」
レギルスは叫んだ。
船縁にずらりと並んだローマ兵、矢を浴びせ始めた。
相手は海賊。海上行き交う民の敵。何の容赦もない。
「うわっ」「ぎゃっ」
海賊は甲板の上で血しぶきを上げぶっ倒れた。
「それ!飛び移れ!」
衝角を船腹にぶつけ、雄叫び上げ、海賊船に次々飛び込んだ。
「それ!一人残らず突き伏せよ!」
こうなるやローマ歩兵の本領発揮。わあっと槍で突きにかかった。
「うわわっ」
ローマ軍に手際よく戦いの順を踏まれては、所詮海賊集団。敵う訳がない。
あちこちで、海賊どもの絶叫と共に、船が捕獲され、あるいは撃沈された。
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