新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 エウリュメドン河口の海戦−上(続き)
 こちらエウリュメドン河口のハンニバル艦隊。
「…そうか。エウダモス率いる艦隊が急進して来るか」
「はい。縦列でこちらにまっしぐらに進んで参ります」
 マニアケスは真っ黒な装いで報告していた。小船で敵の様子を窺っていたものだ。
「こちらは用意充分。迎え撃つぞ。合図を」
「はっ」
 ラッパの音が鳴り響くと、ハンニバル率いる艦隊が動き出した。河口付近の陸地に沿って、西方へと進み出した。
 そして、アポロニオス率いる艦隊は、それから少し遅れて、やや沖の方を進み始めた。




 こちらエウダモス率いる艦隊。辺りはまだ真っ暗。その中を急進していた。
「提督!」
 舳先で、闇の中、目を凝らしていた水兵が叫んだ。
「ハンニバル艦隊です!」
 エウダモスも舳先に走り、敵影に目を凝らした。
「おお」
 およそ二十隻ほどの軍船が前方より迫って来た。
「提督いかがいたしまする」
「よし!右舷へ旋回せよ!」
 右舷とは沖合の方角。要は、沖に出て敵艦隊を陸地に追い込む作戦だ。
 ぐぐっと南側へ漕ぎ出していてく。




「ハンニバル提督!敵艦隊が旋回しておりますぞ!」
 フェニキア水兵が叫んだ。
「ふふ。さすがエウダモス」
 このままの船列だと側面を衝かれる。当時の軍船は、正面は滅法強いが、側面背面はとても弱い。必然、ロードス艦隊に正面相対せざるを得ないが、そうすると陸地を背にすることになる。
「だが…勝負はここからだ」
 ハンニバルは右手を上げた。
 ハンニバル艦隊は左へ旋回を始めた。そして、大胆にも、陸地を背に両翼を広げる船列をとった。

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