新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 エウリュメドン河口の海戦−上(さらに続き)
 ようやく白々と夜が明け始めた。敵味方の様子が、はっきり視界に捉えられる。
「ふ。陸戦の名将ハンニバルも海戦の名将ではない、ということよな」
 エウダモス、思い通りの展開に、ほくそ笑んだ。
「よーし、縦列のまま敵中央を一気に切り裂くのだ!」
 全速力で敵船列を目指し、突き進んだ。
 が、エウダモスがあまりにも急ぎ過ぎたため、彼の旗艦について来れたのは四隻だけ。
 彼の頭脳は、味方の数のことよりも、敵が不利な地形隊形にある間に急襲する、そのことで占められていたのだ。




 エウダモスの軍船が突っ込むと、ハンニバル艦隊はどっと乱れ立った。
 背後が陸地だと船を思うように動かせない。しかも、両翼には味方の船とならば、立ち往生のほかない。
 辺りは敵味方の水兵の怒号が響き渡った。
 エウダモスの味方は僅か四隻でしかないが、敵の軍船を面白いように追い回し、横転させ、座礁に追いやった。




「ハンニバルの旗艦はどれだ!」
 エウダモスは、目を血走らせ、叫んだ。
(稀代の名将ハンニバルをこの手で捕えるのだ)
 そうなれば腐朽の名声を獲得出来るであろう。




「閣下!」
 水兵が指差した。
 すると、雷光をあしらった旗が高々と掲げられている船が一隻。
「あれだ!あの船に向かえ!」
 エウダモスは雀躍りした。
 エウダモスの軍船は全速力でハンニバルの旗艦に向かった。

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