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エウリュメドン河口の海戦−下
エウダモス率いるロードス艦隊急襲。
このまま一気に勝負がつくかと思えた。しかも、ハンニバルの旗艦目掛けエウダモスの旗艦が波を蹴立てて突進していた。
「閣下、このままでは…」
マニアケスが案じた。旗艦の周囲は味方の船に取り囲まれ身動きならぬ有様。ここにエウダモスの重装備の施された船に突っ込まれては、大混乱は必至。
「間もなく現れる筈だ」
ハンニバルの言葉に、マニアケスは珍しく渋い表情になった。
「ですが、あの御仁は実戦経験が…」
「背後に現れること自体に意味がある」
ハンニバルは苦笑した。
彼は、与えられたもの全てを活かす術を心得ていた。たとえ、それが優れた逸材ではなくとも、活用する術を考える。
エウダモスの軍船は、群がる敵艦を『火籠』で追い散らしていた。
『火籠』とは、舷側高く吊り下げた火玉の入った籠。接近する船の甲板に落とす訳だ。ロードス考案の新兵器である。
「ええい、早くハンニバルの船腹にぶつけよ!」
沈着な将のエウダモス、今を一期と督戦に督戦した。
(ハンニバルさえ討てば、ハンニバルさえ捕えれば)
そう。ハンニバルさえ虜にすれば全軍の勝利。
だが、その時であった。
「提督!背後より敵です!」
「なにっ!」
振り向くと、約二十隻の敵艦隊が沖合から迫って来る。
現れたのは、ハンニバル艦隊の後続、アポロニオス指揮の船団である。
アポロニオスは勇躍した。
「よーし!敵の背後を衝くのだ!」
アポロニアスの船団の出現に、さしものエウダモスも狼狽した。というより、急行に急行して来たため、従う味方は四隻しかないのだ。取り囲まれては抵抗のしようがない。
「これはいかん、反転せよ」
海岸に突き進んでいた船の方向転換を命じた。
だが、動力が人力と風力に限られる軍船、急な転換は苦手である。
従って、アポロニアスの船団が扇形の船列で囲み始め、なおかつハンニバルの船団が陸地を蹴って向かって来ると、必然重囲に陥らざるを得ない。
「しまった」
今は、エウダモスも、自身の性急と計算違いを悔やむしかなかった。
このまま全滅か、捕獲されるか。
だが、エウダモスの武運は未だ尽きてはいなかった。
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