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−これまでのあらすじ−
東方を制覇したアンティオコス大王は、ギリシア世界の制圧を目指して西進。ローマと対立。ついに開戦。
緒戦は連戦連勝するも、テルモピュライの戦いで、背後を衝かれ大敗(191年春)。
アンティオコスはアジア(小アジア)に撤退。
190年春。ルキウス・スキピオが執政官就任。兄スキピオと共にギリシアに来航して指揮官着任。
速やかにアイトリア同盟と停戦すると、マケドニアを通過しアジア方面へ進撃開始。
他方、アンティオコス大王のペルガモンの包囲作戦は、エウメネス王らの抗戦により失敗。
次いで、大王との合流を目指すハンニバル艦隊も、エウダモス率いるロードス艦隊の急襲により撃破される(190年初秋)。
そして、ミュオンネソス岬沖でローマ・ロードス連合艦隊が大王軍の艦隊を大破。ローマと同盟勢力は、ついにエーゲ海の制海権を掌握する(190年秋)。直後、大王はリュシマケイアを放棄し、スキピオ兄弟が占領。
劣勢に傾きつつある戦況に、アンティオコス大王はスキピオの許に特使を派遣した。
スキピオの要求(続き)
「果たして大王が呑みましょうか」
「呑むまい」
スキピオは笑った。
「だから、戦いはまだ続くと言ったのだ」
「とは申せ、我らが勝利しても、そこまで譲るでしょうか」
タウロス以西を失えばアンティオコス大王は、大王の格式を失うことになるのだ。
「それゆえアジアに攻め込むのではないか」
スキピオはさも当然とばかりに言った。
「大王の領分で戦うのだ。ザマの戦いの時と同じだ」
敵の本拠近くで勝利する、それでこそ終局的な勝利を得られる、そのことをスキピオは自己の経験として、また、歴史上の真実として確信していた。
大王の使者ヘラクレイデスは、執政官ルキウス・スキピオの幕舎に招き入れられた。
そこには、執政官ルキウスの他、副官の兄スキピオ、同じく副官セルギウス、そして軍団長ドミティウスなど綺羅星の如く居並んでいた。
「本日は、ローマ国家の将軍元老にお目通り賜り、幸甚の至り」
あたかも貢納の使者の如くへりくだった挨拶を述べ、
「本日は、我がシリア王国と、貴国ローマ共和国との和平を申し入れに参りました」
核心の本題に入った。
「ならば、その提案の内容とやらをお聞かせ願いましょう」
ルキウスは穏やかな口調で言った。
「は。我が陛下が申しますには…」
要は、ヘレスポントス海峡周辺の都市からの撤退、イオニア地方でローマ側に帰属を希望する都市にはそれを容認し、今回の遠征で要した戦費の半分を負担する、ということであった。アンティオコス大王としては、相当奮発したつもりであろう。
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