新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 ミュオンネソス岬の海戦−火籠
 対するローマ艦隊のレギルスの旗艦。
「提督!敵船が沖に大きくせり出しています!」
「む…」
 レギルスはさっと振り向いた。
「ミルト殿、これをどう見る」
 ミルトはハンニバルの麾下にも身を置いたこともある。敵方のマニアケスの思考方法にも深く通じている。
「カンネーの再現を期したものでしょう」
 ミルトは即答した。
 ハンニバル軍団の必勝戦術は決まっていた。両翼撃破し包囲撃滅。この戦術は現代でも有効なものとされ、諸国の軍事エリートが学ぶ基本となっている。
「ならば、我らも得意の戦術で向かうべきであるな」
 レギルスは、にっと笑みを浮かべた。
 こちらも密かに期するものがあった。




「第一船団!前進せよ!目指すはポリュクセニダスの旗艦だ!」
 レギルスは号令した。
「おおお!」
 喚声と共に十隻の軍船が突き進み始めた。
 ローマの軍船は全て市民兵士が漕ぎ手。いざという時には、彼らも武器を手に取り、戦闘員に変ずる。市民であるから戦利品の分配もあり、当然士気はすこぶる高い。
「せい!」「おう!」
 十隻は、小型の高速船仕様になっており、まっしぐらにポリュクセニダス旗艦周辺に進んでいく。




 こちらポリュクセニダスの旗艦。
「提督!ローマの一部船団が真っ直ぐ迫って来ます!」
「来たか。まずそいつらを海の藻屑にしてくれようて」
 ほくそ笑みを浮かべ舳先に立ったポリュクセニダスだったが、目を大きく見開いた。
「あれは…!」
 ローマの軍船の舷側から海に向かって斜め上に籠がたくさんぶら下げられており、その中には炎を上げた火の玉が転がっている。




「火籠か!」
 それはロードスが先頃発明した新兵器。敵船に接近し甲板に落として用いる。木造船しかない時代のこと、船体は火にとても弱い。古代における強力な火器といえよう。
 先に、ポリュクセニダスがサモス島でロードス艦隊を潰滅に追い込んだ折も、この火籠の装備を施した軍船の反撃に手を焼き、少なからぬ被害を出してしまった。

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