新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 全てを掻き集めよ 
 ここサルディス。
 今、天空に聳えるこの城が、アンティオコス大王の本営であると同時に、帝国の首都であった。大臣の全てがここにあり、将軍の全てが結集し、宮廷がまるごと移動して来た観があった。




 ヘラクレイデスとマニアケスは打ち揃って山上のアクロポリスに参内し報告していた。
「そうか。スキピオの返事はそれか」
 大王は明らかに落胆していた。
 アジアを確保していれば、アレクサンドロス大王の権威を象徴するメガス(大王)の面目は保てる、そう踏んでいた。また、アジアさえ確保していれば、捲土重来を期すことも出来る。つまり、ギリシア再侵攻の芽も残すことができる。




 だが、スキピオの要求はタウロス以西の放棄。その実質はローマの属国化である。
(これを呑むわけにはいかぬ)
 世界の最高権威としてのメガスの威光が失墜するのは必至。そうなれば、諸王の王として君臨する東方支配にも多大な影響を及ぼすであろう。パルティアやバクトリア、インド諸国が自立を強めるのは疑いの余地もなかった。




「ハンニバルの意見を訊きたいの…」
 大王は思わず呟いた。
 大王の周囲には群臣が控えていたが、ハンニバルに匹敵する人材は皆無だ。
「それならば、既に聴き取っております」
「なんと」
「僭越ながら、帰途パンピュリアに飛び、意見を聞きこちらに戻って参りました」
「そうであったか。それは大儀であった」
 本来ならば順序が違うという咎めがありそうであったが、今はそんなことを言っている場合ではない。むしろ、大王は行き届いた気配りとして称揚した。
「して、ハンニバルは何と申していたか」
「はい…。ハンニバルが申しますには…」

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