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スキピオ、病を得る
一方、スキピオ兄弟率いる軍勢は、アジア渡航後ペルガモン領内を進軍。王都ペルガモン近郊でエウメネス二世の軍勢五千と合流し、カイコス川沿いを西に進み、港湾都市エライアに到達した。
ところが、ここでなにゆえか進軍が止まった。
「兄上、大丈夫にございますか」
執政官にして総司令官のルキウスは兄の幕舎でしきりに案じていた。
そう。スキピオが病を得たのである。
大陸の秋風に当たったものか、大層な熱を出して寝込んでしまった。
今日のインフルエンザか何かも知れない。
「大分良くなった。だが、体がだるく、まるで自分のものではないかのようだ」
スキピオは蒼白い顔に苦笑いを浮かべた。
(案外、体は弱いのかも知れんな…。こんなことで床に伏すことになるとは…)
若い時は、新カルタゴ急襲、イリパの戦いと率先敵中に攻め入ったが…。
やはり、青春の肉体にものを言わせた無茶であったのであろう。
「今は急がねばならぬ」
スキピオは語気を強めた。
既にアンティオコス大王自ら大軍を率いて出陣したと聞こえていたからだ。このエライア付近で迎撃となれば一大事だ。ここは王都ペルガモンに近く、エウメネスの軍勢が動揺しかねない。加えて、ペルガモンが落ちるようなことがあれば、アジア全体のローマに対する信頼が揺るぎかねない。
「そなたは先に進め。速やかにヘルモス河畔に到達せよ」
ヘルモス河畔にマグネシア、サルディスというリュディア地方の主要都市がある。それに迫り、大王軍を守勢に立たせるべし、ということだ。
「は…」
ルキウスは顔をこわばらせた。
味方の軍勢は三万弱。対する大王軍は七万余。兵力差二倍以上。
これまで兄スキピオの存在を頼み、味方の寡勢に何も恐怖を覚えなかったが、その兄が不在となると思うと、途端に兵力差に心細さを覚えたのだ。
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