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マグネシアの戦い−瓦解(さらにさらに続き)
大王とその一隊は、味方が崩壊する中、懸命に東へ一散に駆け出した。
しかし、早くもエウメネス隊の一部が、先回りして退却を妨げに出た。
「どけっ!死にたくなければ道を開けろ!」
マニアケスは、槍をぶんぶん振り回した。
功を焦ったペルガモン兵やアカイア兵は彼女の穂先にかかった。
大王を守る彼女とアゲーマの奮戦で、大王は何とか危地を脱することが出来た。
だが、背後では、大混乱に陥った大王軍の将兵はローマ軍に取り囲まれ、あえなく討ち取られ、包囲され投降を余儀なくされていた。
間もなく。
マグネシアの平原にローマ軍の凱歌が轟いていた。
総司令官ルキウス・スキピオ、ペルガモン王エウメネス、軍団長ドミティウス、アカイアの将ディオファネスらの騎馬が現れると、歓呼をもって迎えた。
「ローマ共和国万歳!」
「ペルガモン王万歳!」
「アカイア同盟万歳!」
(勝ったのか…我らは…)
総指揮官ルキウス・スキピオは、あり得ぬ事態に遭遇したかのように、呆然と馬上にあったが、味方の爆発する歓喜に取り囲まれ、ようやく勝利を知覚し出していた。
大王軍崩壊の様を見ても、彼は、まるで夢か幻影を見ている心地ですらあった。
彼は干戈一合すら交わしていない。否、味方が戦う光景すら間近に見ていない。
(こんな勝利があるのか…)
彼にとっては天運、僥倖であったが、そのことが信じられぬ心地であった。
しかし、周囲は歓喜で埋め尽くされている。ラテン語、ギリシア語、フェニキア語すら飛び交っている。いずれも、彼を称賛するものと分かる言葉である。
(勝った…勝ちましたぞ、兄上)
ルキウスは、真っ暗になった空を見上げた。
紀元前190年12月末。
激戦必至と見られたマグネシアの戦いは、ローマ・ペルガモン・アカイア連合軍の圧勝に終わったのである。
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