新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 天空の城に舞う(さらに続き)
「ほほ」
 マニアケスは上品に笑った。
「わたくしは殿(しんがり)。大王を安全に落ち延びさせることが使命。あなた方が追撃の構えを見せる限り、ここを退くことはありませぬ」
 立て籠る理由を素直に明かし、凛とした決意を示した。




(ううむ、どうすべきか…)
 ドミティウスは迷った。
 敵が少数なのは明らか。否、彼女の他に満足な兵数がいるのかどうかも疑わしい。
 とはいえ、何せ足場が悪い。無理に攻め込めば、少なからぬ味方の将兵が、深い谷底の奈落に転落してしまうであろう。そして、最大の心配は、
(どのような罠が張り巡らせていることか…)
 ということだ。




 そこにエウメネス王が現れた。彼に攻撃の可否を訊ねると、
「ここは無理押ししてどうにかなるような場所ではない」
 即座に反対した。
 大王がアカイオスを下した時も、一年近くかけ、苦心の挙句、見栄も外聞もない謀略を施し、ようやく攻略したのである。




「では、どうであろう。麓の市街に兵を一部残し、大王を追撃するというのは」
「いや、それも危険だ」
 エウメネスはやはり反対した。
「マニアケスは一騎当千の強者。必ずや我らの背後を脅かしにかかるに違いない」
 フリュギアの山間で計にかかれば、どのような不測の事態に陥るか、危険極まりないとも付け加えた。




「やむを得ん。スキピオ殿を待つとしよう」
 ドミティウスは諦めたように言った。
 ここでのスキピオ殿とは、ルキウスのことではない。エライアからこちらに向かっていると伝えられていたスキピオ・アフリカヌスの意であった。将兵将校が、誰を真の総指揮官と見ていたか、ここに如実に現れていた。

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