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全てを振り払え(続き)
翌未明。
ローマ軍陣営にラッパの音が鳴り響いた。
総司令官ルキウス・スキピオを先頭に、軍団長ドミティウス、副官セルギウス、ミルトが続き、同時にペルガモン王エウメネス二世、アカイア同盟軍司令官ディオファネスも出陣した。
そして、足並み揃え、マグネシア城外の大王軍に接近を開始した。
「なに。ローマ軍が出陣したと!」
アンティオコス大王は寝床からがばと身を起こした。
「はっ、執政官ルキウス・スキピオを先頭に前進しております」
告げていたのはマニアケス。
「うーむ」
(先を越されたか…)
大王はそんな感覚に囚われていた。熟慮、慎重、葛藤、それら堂々巡りの如き逡巡に足踏みしている間に、敵はどんどん動き出す。ヘルモス河畔に進出、そして大胆な背水の陣、そして、ついに対決を求め出撃して来た。
「陛下」
マニアケスは静かに口を開いた。
「もはやあれこれ悩む時は過ぎ去りました」
「うーむ」
「眼前の敵を打ち破ること、そのことに全てを賭ける時かと。全てを振り払うべきに存じます」
「全てを振り払う…か」
大王は呟き、その言葉を舌に味わった。味覚を通じて感覚するかのように。
「よし」
そう短く発した時、ようやく心の迷いに踏ん切りがついた。
「出陣だ。ローマ軍に我が軍の強さを見せつけてやるのだ」
「ははっ!」
大王軍の陣営にもラッパの音が鳴り響いた。
間もなく、各陣門からアンティオコス大王、セレウコス王子の率いる騎兵、ガラティア人やアイトリア人の歩兵部隊など、威風堂々出陣していった。
やがて、ローマ軍を至近に捉える地点に到達すると、進軍を止めた。
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