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ハンニバルその後−野心再燃(続き)
フラミニヌスは、王都ニコメディアに到着すると、王君との面会の前に密かにプルシアス王子と会った。
「王子よ、再会出来て嬉しゅうございます」
「ありがたきお言葉…」
プルシアス王子は英雄フラミニヌスのおおどかな言葉に感激した。
これはフラミニヌス得意の手口。ヘレニズム諸国の王子たちに密かに手を回し、そこから様々な伝手を作り、政略を施していくのだ。マケドニアのデメトリオス王子もそうだ。
そして、ここでもそれが功を奏した。
「実は閣下に打ち明けたきことが」
「ほう、何かな」
「ただ、このことで我が王国に咎めが及ばないようなにとぞ御配慮を」
「ははは。随分慎重なこと。安心なされよ。いかなることあろうとも、このフラミニヌスが元老院にとりなして進ぜよう」
「それでは…」
「なにっ、あのハンニバルがここに!」
フラミニヌス、驚きの声を上げた。
「しーっ、声が大きゅうございまする」
王子は慌てた。
宮廷内では公然の秘密であったが、自身の口から漏れたとなれば、ハンニバルを重用する父王の手前、立場上宜しくないからだ。
「ローマとの同盟に反すると何度も諌めたのではございますが…」
「ふーむ」
しきりに弁明する王子を前に、フラミニヌスは密かに興奮を覚えていた。
(これは…ハンニバルを我が手で捕える好機)
大カルタゴを率いイタリアを十五年間に渡り蹂躙し、さらにはアンティオコスと手を組み押し寄せて来た。まさにローマ史上最大の敵。スキピオですら捕えること叶わなかった強敵。
(彼を捕えれば、我が一門の名声も取り戻せよう)
兄ルキウスの失脚以降、フラミニヌスの勢力は甚だ芳しくなかった。盟友スキピオの勢力も退潮。ローマ政治は、カトー一派に市民の支持を奪われていた。
(ローマ市民も、ハンニバルを捕えた我を見れば、かつての栄光を思い出してくれよう)
フラミニヌス、キュノスケファライ以来の功名の好機に、野心を燃やし始めた。
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