新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

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 ハンニバルその後−閉ざされた途(続き)
「はは。そんな訳はない。余はローマの同盟国の王でござるぞ」
 あくまでも白を切る老獪なヘレニズム君主に、
「老君」
 フラミニヌスは声にドスを利かせた。
「その者が明らかに宮廷にあって、王家に与力していたのならば、それは明らかにローマへの敵対行為。ペルガモンとの紛争騒ぎどころではありませぬ」
「フラミニヌス殿…」
 やんわりと反駁しかけた老王を、フラミニヌスは制した。
「我がローマは裏切りには鉄槌を下すことを信条としており申す。カプアを御覧あれ。シラクサを御覧あれ。裏切った両国がどうなったか、老君もよく御承知かと」
 裏切りは絶対許さぬという明白な意思表示であった。




「う…」
 地中海世界の覇者ローマの恫喝に、老君プルシアスは狼狽した。
(少しローマを刺激し過ぎたか…)
 ハンニバルを、対ローマの駆け引きの材料ぐらいにしか思ってなかったプルシアスは、自身の見当違いを思わざるを得なかった。
 もっとも、その程度と考えていた訳だから、王の思考は当然の如く急転回した。
(フラミニヌスは、ハンニバルを捕える栄誉を欲しているな…)
 相手の意図を素早く見抜くと、
(ここらが見切り時…)
 ローマの有力者に恩を売る好機と結論付けた。




「よろしいでしょう。我が国にローマへの二心はありませぬ。それを証立てるため、直ちに引き渡すよう取り計らいましょう」
 君子はまさに豹変した。
 その夜、キュジコスからニコメディアに向け、早馬が向かった。

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