新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

第1章アカイアの章

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全28ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

イメージ 1


https://www.blogmura.com/ にほんブログ村

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)


 その後クレオメネス-下(さらにさらに続き)
 その頃、クレオメネスと十三人の猛者たちは、監獄を襲い、まず不意をついて一の門と二の門をぶち破った。そして、最後の、三の門を破らんと、わらわら群がっていた。
「我ら、アレクサンドリアの民を解放するために決起したものぞ!」
「素直に門を開けろ!」
 が、そんな大義など監獄の兵には与り知らぬこと。彼らは、必死に抵抗した。
 しかし、守備するのは数十人の兵に過ぎない。しかも、長年の平和に慣れきった者たちばかり。猛るラケダイモン戦士の雄叫びに、がたがた震えながら、門を押さえて踏ん張るだけであった。
 それでも、時間稼ぎの効果はあった。近衛兵が駆けつけてきたからだ。
「王様!近衛兵です!」
「くそっ、間に合わなかったか」
 クレオメネスは地団太踏んだ。
「このままでは挟み撃ちになってしまいます!」
「よし、引け!」
 クレオメネスの一隊は、監獄を諦めて、脱兎の如く退散した。


 クレオメネスと十三人の戦士たちは、監獄で奪った馬に乗ると、アレクサンドリアの街中を駆け回った。時は夕刻。常ならば人々で賑わう通りも、人影も見えなかった。
 彼らは、無我夢中になって疾駆し、声の限り叫びまわった。
「我らに呼応し自由を掴め!」
「尊厳を取り戻せ!」
「武器を取るのだ!」
 住民は、窓の隙間から、ラケダイモンの人々を見た。
 誰もが驚嘆の眼差しを向けていたが、彼らにそんな挙に加わる気概はない。
なんといっても、プトレマイオス朝は、創始以来百年余、国をよく治め、ために都は繁栄を謳歌していた。都の人々は、政治的権利こそないものの、経済的な豊かさは十二分に享受していたのだ。四世王の暗愚も、未だ悪政としては現れておらず、所詮、宮中内の出来事に過ぎなかった。
 そう。豊かな国では、革命は起きないのだ。いかにいびつな統治構造であっても。


 しんと静まり返った街の通りにあって、クレオメネスは天を仰いだ。
「なるほど。かほどに自由を厭う民であれば、国が女に支配されるのも無理はない」
 やがて、遠くに砂埃がもうもうと立つのが見え始めた。叛乱を鎮圧すべく駆けつけてきた官軍に違いなかった。
「諸君!これまでだ!」
 クレオメネスは、埃と汗にまみれた顔を、奮闘してきた人々に向けた。
「よくぞ、これまで余に従ってくれた。かくなる上は是非もなし。祖国ラケダイモンの名誉と、我らの名誉のため、ここで潔く死んでくれ」
 人々はこくと頷いた。絶望した顔ではない。戦い抜いた誇りに満ちていた。
「パンテウス」
「はい」
「そなたは、我らが全員果てたのを見届けてから、最後に果ててくれ」
「かしこまりました」
 途端に、人々は次々と自決し始めた。老臣ヒッピダスは、力尽きていたため、若い者に剣を握ってもらって、自身の体を刺し貫いた。
 クレオメネスは、身じろぎもせず、人々の最期を見詰めていたが、やがて剣の切っ先を胸に当てた。
「ラケダイモンの地下に眠る歴代の王よ。セラシアの地に眠る無数の魂よ。力及ばず申し訳ない。今は、死んで詫びるよりほかなし」
 クレオメネスは、ずんと胸を突き、その場に身を崩した。


 パンテウスは、同志たちが全て倒れるのを見届けると、人々の息があるかどうかを確認し、念を入れて、人々の体を一刺していった。
 最後にクレオメネスの傍に寄り、その踵を刺すと、王は一瞬顔をしかめた。ために、パンテウスは、王の口元に耳を近づけたが、もう息は絶えていた。
「王よ。最後の任をし遂げました。わたくしも、先祖たちに詫びるため、お供いたします」
 そういって、胸を一突きし、クレオメネスの体に折り重なるよう倒れた。


 紀元前219年、ラケダイモン王クレオメネス三世は、アレクサンドリアの地で、同志たちと共にこの世を去った。享年四十一歳であった。
 その後、人質となっていた、母のクラテシクレイア、クレオメネスの息子も、運命を共にした。パンテウスの、若き妻も運命を共にしたとのことである。
 ラケダイモンの王統は、クレオメネスの死により絶えてしまうこととなった。


 クレオメネスの死、そして、アラトスの死により、ギリシア世界は、二度と輝きを取り戻すことはなかった。時代は、西方の世界へと大きく動いていくこととなる。

 第一章アカイアの章終わり。第二章カルタゴの章へ続く。

イメージ 1

          ↑
プトレマイオス朝の首都アレクサンドリアの地図です。


https://www.blogmura.com/ にほんブログ村

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)


 その後クレオメネス-下(さらに続き)
 クレオメネスの一隊は、屋敷を飛び出ると、まっすぐにとある屋敷に向かった。
 重臣プトレマイオスの邸宅だ。
 と、そこには、丁度王宮から戻ってきたプトレマイオスの馬車が門前につけていた。勿論、クレオメネスは手の者を使って事前に調べ上げていたのだ。
 ラケダイモンの戦士たちは、彼の馬車を取り囲んだ。
「降りろ!」「馬車から降りろ!」
 プトレマイオスは、馬車のうちから引きずり出された。
「こ、これはなんとしたことぞ」
 プトレマイオスの顔は、既に土気色となっていた。
「白々しい!貴様が謀りをもって、我が主君を死地に追い詰めようとしていることはとうに承知ぞ!覚悟せい!」
 パンテウスは白刃を振り上げた。
「ま、待ってくれ!それは誤解じゃ!」
「問答無用!」
 プトレマイオスは、怒り狂ったラケダイモン戦士により滅多斬りにされ、血祭りに上げられてしまった。
「それっ!監獄を襲うのだ!」
 クレオメネスは叫んだ。
 そう。囚人たちを解放し、それを味方に加えようと目論んだのだ。
 クレオメネスと十三人は駆けに駆けた。
 が、途中、ヒッピダスが遅れ始めた。老齢に加え、足が不自由であったためだ。
 彼は、味方が足を緩めるのを見ると、
「王様の足手まといとなり、事を妨げるようなことがあれば痛恨の極み。ここで殺してくだされ!」と叫んだ。
「馬鹿者!事を成す者が味方を殺すものか!」
 クレオメネスは叫び返し、道端に繋いであった馬を奪うと、彼をそれに乗せ、再び駆け始めた。


 クレオメネスの叛乱決起の報に、宮廷は震撼した。
「なにっ!クレオメネスが叛乱を起こしたと!」
 宰相ソシビオスは仰天した。
「はい。既に、プトレマイオス閣下が討ち取られた由」
「なんと…」
 ソシビオスは絶句した。
 彼もクレオメネスの自滅を企んだ一人であるが、相手が、都の内で、こんな大胆な挙に出るとは夢にも思っていなかった。
 そこに、今回の騒動の原因となった、オイナンテとアガトクレイアも姿を見せた。
「宰相殿」
「お。お后に御母堂か」
「クレオメネスがついに本性を現したとか」
 オイナンテがいった。
「左様、十三人を率いて」
「ほほ。愚かよの。そんな小勢でどうなるでもなし」
 アガトクレイアが嘲笑した。
「いや、そうは言い切れませぬ」
「どうして?」
「もし、クレオメネスが頑強に抵抗するようなことがあれば、いかなる異変が起きるか…」
 ソシビオスは心配していた。
 微々たる勢力に過ぎないクレオメネス。が、彼の叛乱が呼び水となり、王弟マガースが呼応して決起するようなことがあれば、エジプト国家を二分する大乱となろう。
(既に気脈を通じているやも知れぬ。速やかに鎮圧せねば…)
 とそこに、兵が駆け込んできた。
「宰相様!クレオメネスの一隊が監獄に襲い掛かりました!」
「なんだと!」
「一の門、二の門が破られ、このままでは叛徒の手に落ちてしまいまする」
(まずい…監獄が落ちれば、囚人どもがクレオメネスに味方して、大変な事態に…)
「監獄を渡してはならぬ!近衛兵を向かわせろ!」
 ソシビオスは、王宮を守護する精鋭部隊の近衛兵を一部割いて、監獄のある城砦に、急遽向かわせた。


https://www.blogmura.com/ にほんブログ村

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)


 その後クレオメネス-下(続き)
 その夜、クレオメネスは臣下を集めた。全員で十三人。
「諸君。四世王の心は分かった。いや、その取り巻きの重臣や女どもというべきか。とにかく、彼らは、いずれ、この余を誅殺するつもりぞ」
 十三人は蒼白い顔のまま、身じろぎもしなかった。
「余は、このまま閉じ込められ、犠牲獣の如くに肥太らされ、殺されるのをいたずらに待つつもりなど、さらさらない」
 そう。神に捧げられる犠牲獣は、供え物にふさわしいものとするため、それと決まってから餌をふんだんに与えられ、肥太らされていく。
「…して、王の御心は」
 ヒッピダスが家臣を代表して問うた。
「我が剣を振るい、四世王の傍に巣食う悪臣どもを討ち倒し、王室の不正を正し、このエジプト王国に光を取り戻す。どうだ!諸君!」
 ここにいるのは、終生クレオメネスと運命を共にすることを誓った者たちばかり。セラシアの激闘にも奮迅を見せた強者どもだ。臆する色を見せる者など一人もいない。
「我ら、王の御心に従い行動するのみ。よろしくお指図くだされ」
 その言葉に、王は満足げに頷き、人々の顔を見詰めた。
「余の考えを申す」
 クレオメネス王は、とある策を人々に囁いた。


 それから数日後、重臣プトレマイオスの使者がクレオメネスの前に現れた。
「我が主人が陛下にクレオメネス王の赦免を願い出たところ、陛下は宥免のお心に傾き、近々赦免なされるとのこと」
「ほう。それはありがたきこと」
 クレオメネス、笑っていたが、その声はどこか乾いていた。
「つきましては、王室より、これらのものが下賜されました」
 といって、彼が合図すると、酒の瓶に、羊やら果物などなどが山と運び込まれた。赦免の前には、慣例として下賜品が与えられることとなっていたのだ。
 これは、プトレマイオスの策謀で、赦免の噂を流してクレオメネスを油断させておく手であった。が、彼は、相手があのアンティゴノスを土壇場に追い詰めた猛者であることを忘れていたようだ。
 そのためか、クレオメネスの顔には、冷ややかな笑みが浮かんでいた。
だが、言葉の上は、あくまでも慇懃であった。
「これはこれは…。プトレマイオス殿にはよろしくお伝えあれ。クレオメネスはいたく感謝しておったと」


 使者が出て行った後、クレオメネスは、傍らのパンテウスを見て笑った。
「ふふふ。この有様では、本当に犠牲獣にされるようだな」
 その言葉にパンテウスは笑わなかった。運命の日が刻々近付いているに他ならないからだ。
「急がねばなりませんな」
「うむ。武器を集めねばならん」
「屋敷の周囲は兵で囲まれております。どうやって…」
「この下賜品を利用するのだ」
「これを?」
「耳を貸せ」
 王はパンテウスの耳元に囁いた。


 数日後。クレオメネスは、神事を行い、下賜品を用いて犠牲を捧げ、儀式の終わった後にそれを人々に振舞った。
「そなたらも相伴いたせ」
 そういって、監視する兵にも肉と酒を勧めた。
 兵たちは、最近監視が厳しくなったとはいえ、クレオメネスと会話を交わし、いつも笑いあう間柄になっている。また、赦免が予定されているとの噂に、気持ちが緩んでいた。ために、勧められるがまま、
「ありがたきお言葉。喜んでいただきます」と舌鼓を打ち、酒もごくごく呑んだ。
 やがて、彼らはぐでんぐでんに酔っ払い、正体不明となった。
 それを見届けたクレオメネス、臣下の者たちに合図した。そう。彼らは少しも酔っていない。酒の如くに見せた水を飲んでいただけであったのだ。
 クレオメネスの家臣たちは、眠り込んだ監視兵から剣と槍を奪い、さらに鎧も頂戴して、自身の体を固めていった。
 彼ら臣下が武装し終えた時、既に、クレオメネスはラケダイモン王家伝来の鎧兜に身を包み、剣を握り締めていた。
「いくぞ!」
「おおっ!」
 クレオメネス、大胆にも、このアレクサンドリアの都のど真ん中で、僅か十三人を率いて決起したのだ。


https://www.blogmura.com/ にほんブログ村

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)


 その後クレオメネス−下 
 幽閉されたクレオメネス、広大な屋敷の内とはいえ、日々鬱屈した生活を送っていた。
「王様、これはいつまで続くのでしょう?」
 若き将パンテウスが、その肉体を持て余すかのような苛立ちを見せていった。
「分からぬ。が、余にやましいことは一点もない。いずれ解かれよう」
 そこに老臣ヒッピダスが現れた。
「プトレマイオス殿がお越しになられました」
「おお、すぐに通せ」
 プトレマイオス。四世王と同名の重臣の一人。近頃は、幽閉中のクレオメネスを訪れ、話し相手となっていた。
 長身の男が颯爽と現れた。プトレマイオス王の寵臣でもある彼。
「おお、よくぞお越しくだされた」
「相変わらず英気溢れるご様子でなにより」
「とんでもない。鬱々としており申す。いい加減、これは何とかならぬものですかな」
「はは。陛下によくある一時の御不興に過ぎませぬ。心配要りませぬ」


 しばらく世間話などした後に、クレオメネスは、いつものように、自身に四世王に対する悪意など一切ないこと、むしろ先王に対する恩から、王家へ篤い尊崇の念を抱いていることを強く訴えた。
「それゆえ、一日も早い赦免をお願いしたいのです」
「分かりました。私からも、陛下によいように申し上げましょう」
「よろしくお願いいたします」


 プトレマイオスは退出した。
 が、テーブルの上に、宝玉のちりばめられた腕輪が忘れられていた。
「お、忘れ物をされたようだな」
「私が届けましょう」
 パンテウスが小走りに出て行った。
 が、なにゆえか、彼は血相を変えて戻ってきた。
「王様!」
 声を殺して叫んだ。
「どうしたのだ。そんな色をなして」
「こちらに!急いで!」
 クレオメネスは、パンテウスに導かれるまま、とある小部屋に入った。
「なんなのだ一体」
「シーっ」
 パンテウスは口に人差し指を当てた。
 そこは、外の庭にある兵の屯所のそばにあった。すると、外でひそひそ交わされる言葉が聞こえてきた。


『お前たちは何をぼんやりしておるのだ』
 その声はプトレマイオスのものに違いない。どうやら、幽閉するクレオメネスを監視している兵の指揮官を叱り付けていたようだ。
『…されど、幽閉の身とはいえ、クレオメネス殿は先王の信任も厚かった御方。それゆえ、あまりに厳しい監視はいかがなものかと思い…』
『馬鹿者』
『は』
『やつは、いうなれば手負いの獅子の如きもの。手に負えぬ野獣ぞ。その野獣の監視にこれでは緩すぎる。もっと兵を増やし、昼夜問わず厳しく監視するのだ』
『それは陛下の…』
『勿論、陛下の御心ぞ。やつはギリシアの傭兵どもを信服させている。うかつに処断して、傭兵どもの暴動や、弟君マガース殿の叛乱を誘発しては一大事だからの。それゆえ今は誅することはできぬ。しかるべき時を待っておるのだ』
 それからも、なおプトレマイオスの小言は続いた。
 そこには、王室とそれを取り巻く人々の本音があからさまにされていた。
 クレオメネスの表情は、紙のように白くなった。彼は、すっとその小部屋から出て行った。

イメージ 1

    ↑
 ポンペイ遺跡に残る壁画で、ディオニュソスの秘儀の様子を描いたものです。
 遺跡は紀元前二世紀頃のものですので、この物語の時代に近いといえます。


https://www.blogmura.com/ にほんブログ村

ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)


 その後クレオメネス-中(さらに続き)
 ニカゴラスは、王の屋敷を辞去すると、オイナンテの密教の館に向かった。
 そして、こういったのであった。
「クレオメネスは、陛下の日々の振る舞いを嘲り、大国エジプトの王たるに値せず、と口を極めて罵っておりました」
 オイナンテは大いに喜び、彼にそれを書面に認めるよう言い付け、そしてニカゴラスに褒美としてぎっしり金貨の入った袋を与えた。ニカゴラスは、土地の代価に見合う以上のものを手に入れたのであった。
 ニカゴラスは、ホクホク顔になって何度も礼を述べ、館を去ると、アレクサンドリアの港へ消えていった。
 そう。オイナンテとアガトクレイアは、クレオメネスの僅かな落ち度を嗅がせるため、ニカゴラスをクレオメネスの許を訪れさせたものであった。


 密告書を手に入れたオイナンテ、アガトクレイア親子は喜んだ。
「お母様、よいものが手に入りましたわね」
「ええ、これでクレオメネスを陥れることができる」
 密教の館の女主人オイナンテは、そのしわくちゃの顔を歪めた。
 彼女は、神ではなく、金に仕える俗物そのものであった。
「早速、これを陛下にお見せしましょう」
 アガトクレイアが浮き立つように言うと、母親は首を振った。
「それは駄目」
「どうして?」
「私たちが見せれば、女の邪推とか言い出す者が現れかねない。しかるべき人間から、これを陛下の目に入るようにしないと…」
「それは誰?」
「ソシビオスよ。ならば、あのぼんやりした陛下も信ずるであろうし、他の者も納得するでしょう」
「そうかぁ」
 アガトクレイア、計算高い母に似ず、どこか上の空な感じであった。おそらく、彼女も密教の儀式やら酒宴で、骨抜きになっていたものであろう。
「妃のあなたが呼びつけなさい。私にはしかるべき位がないのだから」
「はい、お母様」


 その夜、アガトクレイアに呼びつけられた宰相ソシビオスは、密告書を見せられると、仰天した。
「なんと!クレオメネスが陛下にこのような悪意を抱いているとは!」
「そうです。表向きは忠誠を誓うが如き振る舞いをしていますが、それは真っ赤な偽り。今のうちに対処しなければ、王家の一大事」
「まこと…」
 ソシビオスは、あっさり信じ込んでしまった。どうやら、プトレマイオス四世の周囲には、ろくな人物がいなかったようだ。
「直ちに陛下にご覧いただかなければ」
「では、宰相様より御高覧いただくよう手配願います」
「かしこまりました。では、この密告書はいただいてまいります」
「はい、お願いします」
 蒼い顔のソシビオス、そそくさとアガトクレイアの部屋から出ていった。


 物陰から、ある人物がすっと現れた。オイナンテである。
「アガトクレイア」
「はい」
「これで、このエジプトは我ら親子のものよ」
「はい。お母様」
「ふふふ。この世の長者として栄華を極めるのよ」
 それから間もなく、プトレマイオス四世の勅命が下り、クレオメネスは自邸での謹慎を命じられた。クレオメネスは幽閉されてしまったのだ。

全28ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.
アバター
Dragon
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

Yahoo!からのお知らせ

友だち(3)
  • ダイエット
  • JAPAN
  • 時間の流れ
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事