新しいギリシア・ローマの物語2

179年、暴君フィリッポス、悪業の報いを存分に被り、死去

第6章カンネーの章

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  絆−古の縁(いにしえのえにし)
 紀元前216年七月初め。
 執政官パウルス邸は、たいそう賑やかであった。
 ローマ中の紳士淑女たちが、彼の屋敷に一堂に会していた。
 人々の集うアトリウム(吹き抜けの中庭)に、着飾ったアエミリアが姿を見せると、わあと歓声が上がった。
 彼女の背後には、パウルス家長男ルキウスが、やや頬を赤らめ従っている。
 アエミリア、両の手で剣を胸に抱いていた。
「アエミリア様、とてもお奇麗ですわ」
「ほんとうに…」
 乙女たちは、彼女の美しさに見とれた。
「ありがとう」
 アエミリアは嬉しそうであった。
 この日は、スキピオ家のプブリウス、パウルス家のアエミリアの結婚式であった。



 このことは、スキピオとパウルスの、長年の約束でもあった。
「婚儀をもって両家の絆をさらに固いものとしよう」
 二人が青年の頃に交わした約束であった。
 ただ、両家ともに、どうしたことか女の子に恵まれなかった。
「こればかりは神のお決めになられること」
「残念だが、仕方がないのう」



 約束が空しく終わろうとした頃。
 東方のギリシアの地から、ある女性がスキピオ家を訪れた。プロアウガだ。
「そなたは…どなただ?」
「プロアウガと申します」
 片言のラテン語で彼女はそう言うと、一通の手紙を差し出した。
 パラと広げると、プブリウスの手跡であった。
『親愛なる父上。プブリウス、ある願いを叶えて頂きたく一筆差し上げます』
「何事か」
 読み進めるうちにスキピオの瞳は、これ以上ないほどに見開いていった。
『我が友クレオメネス王との生涯の誓いにより、彼女を庇護する事に決しました。お父上にあられましては、パウルス閣下にお頼みの上、養女となすようお取り計らいいただきたく存じます。クレオメネス王に万が一の折には、わたくしが娶る所存』
 スキピオは仰天した。スパルタ(ラケダイモン)の王女を、未来の妻でございますと送り届けられたのだ。驚かない方がどうかしている。



「あやつめ…何を考えているのだ」
 我が息子の破天荒に度肝を抜かれたが、すぐに思い直した。
「確かに…これは天恵に違いない。この姫こそ両家を結ぶ絆」
 果たして、手紙の通りに頼み込むと、
「うむ。貴殿の申される通り。東方より、勇猛で名高きラケダイモン王の姫が、我が娘としてやってくるとは、まさしく天恵。女神ユーノーの御加護であろうぞ」
 といって、パウルスは快諾したのであった。
 この日から、プロアウガはパウルス家の養女となり、名をローマ風にアエミリアと改めた。そして、プブリウスの許嫁となったのだ。
 それから六年。
 今日という日を、ついに迎えることとなった。



「おおっ」
 今度は紳士たちの声が上がった。
 プブリウスが、貴顕市民としての象徴、縁を紫で彩る純白のトーガに身をゆったりと包み、背筋を正し静々歩んで来る。
 左手に先祖の彫像を抱え、右手にスキピオ家伝来の秘宝の剣を手にしていた。



 プブリウスは、アエミリアの前に来ると、凛と微笑んだ。
「さあ、花嫁よ。お父上の許に参ろう」
「はい、花婿様」
 アエミリアは素直に頷いた。
 二人は、しずしずと廊下を歩いていく。
 奥の大広間には、両家の親族が左右に分かれて控えている。
 スキピオ家執事のアッティクスが、感極まったのか、目元をしきりに拭っている。
 そして、部屋の奥に壇が設えられ、そこに花嫁の父パウルスが立っていた。



 二人は、そのパウルスの前に至ると、片膝ついて一礼した。
「花嫁のお父上」
 ププリウスが神妙な面持ちで、新たな父に挨拶を始めた。
「畏くも、かかる盛大なる式典を催しくださり、このプブリウス、スキピオ家一統を代表し、ここに衷心より感謝申し上げます」


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 パウルス立つ(続き)
 案の定である。
「もう四の五の申している時ではない。すぐに立ち上がらねばならぬ」
 そう口火を切ったのは、もう一人の執政官ガイウス・テレンティウス・ウァロ。
「立ち上がる…とはどういう意味か?」
 ファビウスの息子クィントゥスが険しい視線を向けた。
 このテレンティウスの提案で、ミヌキウスに独裁官と同等権限が与えられ、そのため、たいそう難儀したとの記憶があったからだ。
「我ら執政官、二人とも何ゆえか、このローマの地にあったまま。パウルス殿の御深慮と存じたゆえ、今まで大人しくしていた。が、もはや執政官がこのローマに安穏とある時ではない。戦地に赴き臨機に対応できるよう、軍を率いて向かうべきだ」
 勇ましい意見に、平民党の議員は大きな拍手を送った。
 その様子に、パウルスはますます顔を苦いものとした。



(まずいな…)
 パウルスがローマから動かない理由の一つに、このテレンティウスの存在があった。
 執政官は、本国にあっては、それほど大きな権力はない。ローマ国家の建前として、政治的意思決定をなすのは元老院である、その了解が確立していたからである。
 言い換えると、パウルスは、執政官の権限として元老院を招集し、そこで意思統一を図ることさえできれば、自分の意思を国家の方針となすことが出来る訳だ。現に、これまでの戦略の大半は、彼の思う通りにすることが出来た。
 弱められた執政官の権限を逆手に、テレンティウスの動きを封じて来た訳だ。
(…だが、戦地に赴けば、こうは運ばぬ)
 戦場では、インペリウム(命令権)を保持する執政官の独擅場となる。
 パウルスと同等の権限を有する執政官テレンティウスがいるのだ。つまり、一対一。否応なく、彼の意見が大きく反映されることになってしまう。
(事の勢いに駆られ、ハンニバルの誘いに乗るようなことあらば…)
 カンネー周辺は平原地帯。そこで会戦に及べば、騎兵戦力に劣るローマ軍が不利に陥るのは目に見えていた。



「よろしい」
 パウルスが言った。
「今は、貴殿の言う通り、躊躇している時ではない」
「おお、それがしの意見に賛同してくださいますか」
 テレンティウスは喜んだ。
「ただ…」
 パウルスは釘を刺すように言った。
「先年のように、味方の内で混乱を見てはならぬ。この会議で大きな戦略の方針を決めてからにしたいと存ずる」
 ここは彼の巧みな所であった。あらかた元老院で決めておいて、戦場におけるテレンティウスの独断を封じようというものであった。
 それを察し、テレンティウスを支持する議員の一部に難色を示す者もいた。
 だが、元老院は、まだまだ貴顕市民が多数派。



「うむ、それがよい」
「その意見に賛成だ」
 パウルスの意見は速やかに採られた。
 その結果、戦略の基本として持久戦を旨とすること、やむなく合戦に及ぶときにも敵の有利な平地では決して戦わないこと、それを議決した。
「そして、我が軍の陣容であるが…」
 既に執政官格司令官の二人が、それぞれ二個軍団、あわせて四個軍団が戦地にあった。
「それだけでは足りぬ。新たに徴募し、我ら二人の執政官が四個軍団を率いて駆けつけたいと存ずる」
 その提案に議場はざわめいた。
 総勢八個軍団、すなわち約四万の兵力、それに同数の同盟国の兵が加わるから約八万。未だかつて、ローマがこのような大軍勢で敵を迎えたことはなかった。
「我らは騎兵戦力に劣る。となれば、歩兵戦力において圧倒的に優位に立つほか、ハンニバルに勝利する道はない」
 会議を終わってみれば、パウルスの提案は、圧倒的多数の賛成で議決されていた。
 イリュリア平定の英雄、かつてはフラミニウスの盟友でもあった彼、平民党をはじめとする民衆の期待も高かったのだ。


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 パウルス立つ 
 ここローマ。パウルス邸。
「なにっ、カンネーが落ちたと!」
「はっ、敵は我が方の割り符を偽造し、偽って城内に入り、たちまち制圧したとのこと」
「して、我らが備蓄していた兵糧は?」
「悉く敵方に奪われましてございます」
「なんと…」
 パウルスは衝撃を受けた。
 敵の糧道を断ち、その衰弱を待つ。その戦略に大きな狂いを見せたことになるからだ。
(むむっ、どうしたものか)



「して、我が味方はどうしている?」
 執政官格司令官のゲミヌスとレグルスの二人が、ハンニバル軍に着かず離れず並行し、牽制の任務に当たっている筈であった。
「は。そのことについて閣下にお訊ねせよ、と」
「何か」
「は。兵糧充分の敵本隊に接近すれば、合戦は避けがたし。接近しなければ、もはや敵の牽制も果たすことかなわず。いかがすれば良いか、と」
 兵糧をたっぷり蓄え込んだハンニバル軍は、当分の間、兵糧調達のため部隊を展開する必要がなくなった。これまで、ローマ軍は、兵糧調達に出て来た小部隊を攻撃し、ハンニバル軍に打撃を与え、牽制してきた。それが当面叶わなくなった訳だ。
「うーむ」
 パウルスは大きく唸った。
 やがて、大きく息を吐くと、こういった。
「よろしい。直ちに元老院を招集し作戦を協議しよう。その間、しばらくは敵に接近せず、陣営を固く守備せよと伝えたまえ」
「ははっ」



 数日後、パウルスの令により、元老院が招集された。
 たちまち喧々諤々の議論となった。
「直ちに会戦に及びカンネーを奪い返そう」
 平民党の議員には速戦即決を主張する者が多くいた。
「馬鹿な」
 反対の声を上げたのは、ファビウスを支持する党派。
「ファビウス殿の持久戦術が有効であること明らか。もう忘れたのか」
 それに対して、すぐさま平民党側から反駁の声が上がった。
「持久戦が有効なのは兵糧に不安があるとき。が、その敵は兵糧充分」
 これに対してもすかさず、
「我らは騎兵戦力で大きく劣るのだ。カンネーは平原地帯。危ないぞ」
 と反論が浴びせられたが、ならばと
「それでは、味方の大地が蹂躙されるだけだ。同盟国を見捨てる気か」
 反撃があり、まさしく喧々諤々となった。
 議論の間、パウルスは、苦虫噛み潰したように、腕を組んでいた。



 会議は連日連夜行われた。
 だが、その間にも、頻々と急報が届いて来る。
「ハンニバル軍、突如カンネーを出撃し、南西のカヌシウムを攻め落としました」
 その報告に議場はどよめいた。
 周辺の同盟諸国の動揺も次々と飛び込んで来る。
「我が一国では持ちこたえられませぬ」
「至急、援軍をお寄越しいただきたい」
 この辺りに点在するのは多くが小都市だ。だから、ハンニバル軍の矛先が向かえば、その猛攻には到底耐えられない。
 ハンニバルとすれば、このような動揺も計算のうち。ローマの主力を引きずり出す好機と捉え暴れ回っているに違いなかった。


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 カンネー急襲(続き)
「あなたが責任者か」
 守備隊長が、先頭の騎兵の馬前に近寄った。
 それは、まるで女のような美貌の将だった。
 その将は、冷たい笑みを浮かべた。
「そうです」
「夜分にご苦労。…して貴職の名は?」
「このカルタゴ軍を預かるマニアケス」
「な、なにいっ、カルタゴ軍だとっ!」
 守備隊長は仰天した。
 途端、マニアケスは、抜く手も見せずに抜刀するや、守備隊長を馬上から両断した。
 哀れ、守備隊長はどうっとその場に仰向けに倒れた。



 それを合図に、荷車の積み荷の中から、一斉に武装した兵がわあと現れた。
 そして、近くにいるローマ兵に襲いかかった。
「うわっ、カルタゴ軍の奇襲だ!」
「敵だ!敵の攻撃だ!」
 たちまち城門周辺は乱闘となった。
 が、不意を打たれ、隊長を失ったローマ守備隊は大混乱となった。
 そこに、ハシュドゥルバル率いるカルタゴ人騎兵が押し寄せて来ると勝負あった。
「それっ!ローマ兵を蹴散らせ!」
 騎兵隊は、あっという間に四方全てへ駆け抜け、ローマ兵の抵抗を蹴散らした。
 カンネーの砦は、カルタゴ軍によりたちまち制圧されてしまったのだ。
 ローマ兵はまともな抵抗も出来ず、悉く捕らえられた。



 翌日。日も高くなった頃。
 ハンニバル率いる本隊がカンネーに到着した。
 総司令ハンニバルは、将兵の歓呼を浴びながら、城塞の中へ進んでいった。
 砦に入ると、ハシュドゥルバルを呼んだ。
「ハシュドゥルバル殿、ご苦労であったな」
「いや、あまりに呆気なく…。働いた気がいたしませぬ」
 若武者は無邪気に自身の功を誇った。
 対して、並みいる幕僚たちは、なにゆえか冷ややかな眼差しであった。
 彼らは知っている。
(マニアケスの働きがあったればこそではないか…なんだ、あの態度は)
 ボミルカルの子ハンノンに至っては、敵愾心にも似た、きつい視線を向けていた。
 ハンニバルは、そんな空気を知ってか知らずか、ひどく上機嫌であった。
「はは。大きな戦いは間もなく訪れる。それまで英気を養っておくがよい。とにかく、こたびはご苦労だった」
「ははっ、ありがたきお言葉」
 若武者は、自身の初戦に大いに面目を施し、満足そうに下がっていった。



 ハシュドゥルバルの姿が消えると、ボミルカルの子ハンノンが口を開いた。
「…でも、どうして、ローマ軍の割り符をマニアケスが持っていたので?」
「簡単なこと」
 ハンニバルは僅かに笑った。
「カンパニアとこのアプリアを往来する、敵の兵糧部隊をマニアケスら密偵たちが監視していた。その一つを、こっそり頂戴したまで」
 その説明に、ハンノンは納得しなかった。
「…でも、なくなれば大騒ぎになりましょうに」
「マニアケス、説明してやれ」
「はい」
 マニアケスは小さく頷くと、カルタゴの貴公子の方を向いた。
「偽造するため、鑞を流し込んで型だけ抜き取り、割り符自体はすぐさま元の場所に返しましたゆえ」
「なんと…そんなことができるのか…」
 ハンノンは呆然とし、そして、しみじみこう呟いた。
「やはり、こたびのことはお前の手柄ではないか…」
「いえ、ハシュドゥルバル将軍のお働きがあればこそ、我らの工作も生きたのでございますれば…」
 ハンニバルは、何も言わず、穏やかな視線を彼女に向けていた。
 とにもかくにも、ローマ軍の兵糧備蓄基地カンネーは陥落した。
 このことは、ローマ側に大きな動揺を引き起こすこととなった。


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−これまでのあらすじ−
 アルプスを越えイタリア進出を果たしたハンニバル。連戦連勝し、ついには平民の英雄フラミニウスを、トラスメネス湖畔におびき寄せ、濃霧の中に奇襲して潰滅せしめる。
 この非常事態に、ローマは重鎮のファビウスを独裁官に選任。
 ハンニバルとファビウス、穀倉地帯カンパニアで駆け引きを繰り返し戦線は膠着。虚を衝いて奇襲を敢行したファビウスに対し、ハンニバル、火牛の計を施し、無事アプリアへ通過。
 ゲルニウム近郊でローマ軍とハンニバル軍、本格的な戦闘に及ぶも決着はつかず、そのまま冬を越し、紀元前216年春を迎える。
 待望の執政官パウルス着任。再び大きな戦機を迎えることに。


 カンネー急襲 
 その夜。ハシュドゥルバル率いるカルタゴ人騎兵隊三千が、行動を開始した。
 疾風の如き速さで、カンネーの城の見える所に到達した。
「将軍、あれに見えるが、この地方一帯の兵糧を備蓄しているカンネーの城です」
 マニアケスが指差した。
 月明かりの中、破れた城壁の中に、聳える楼閣を備えた城塞が見えた。半壊した町の中に、強固な砦を構築していたものだ。
「ふむう、あれか。うまい所に兵糧を蓄えておるな」
 ハシュドゥルバルは薄く笑った。
 が、なにゆえかきっとした。



「マニアケスよ、汝に一つ言っておきたいことがある」
「はっ、何でございましょう」
「総司令の前ではあのように申したが、私はそなたを許してはおらぬ。いや、許せるものではない」
 若武者は空を見上げた。きっと、幼少の頃より、亡き兄の偉大な姿を脳裏に思い描いていたものであろう。遠くにあれば、一つの感情が激しく燃え上がる。彼にとって、それは兄を殺された憎しみであったに違いない。
「は…」
 マニアケスは目を伏せた。
「それゆえ、汝に二心の気配あらば、容赦なく処断する。それを忘れるな」
「…はい」
 マニアケスはうつむいた。
 相手が、前の総督の生き写しであるがゆえに、罪業の炎に身を焼かれるような辛さであった。
「では、早速とりかかれ」
「はっ」
 マニアケス以下数十人のカルタゴ兵は、鎧を脱ぎ捨てると、ローマ兵の鎧を着け、兜をかぶった。どれも、トラスメヌス湖畔の戦いで得た戦利品だ。
 そして、いつの間に用意したのか、数十台の荷車を揃え、兵糧物資満載の体を整えた。
「よし!出発だ!」
 マニアケスが手を挙げた。



 カンネーの城塞では、ローマ兵が夜々油断なく警戒していた。
「敵には優れた密偵がいるようだ」
 この頃、ローマ側でも、ようやくそのことを理解し始めていた。
「いつこの砦のことを感づくやも知れぬ。警戒を怠るな」
 そのため、数百の兵が、昼夜交代で見張りに付き、目を凝らしていた。
 と、そんなときである。
「む、あれは」
 南西の方角から、荷車の列が近づいて来る。
「こんな夜に兵糧の運搬か?」
 怪訝な表情を浮かべた。
 荷車は、瓦礫となったカンネーの町の中を進み、城塞に近づいてきた。



「止まれ!どこの隊か!」
 城兵は誰何した。
 荷駄を率いている騎兵が、かっかっと前に進んだ。
「我らは、軍命に従い、カンパニアより兵糧運搬して来た一隊です」
「割り符を見せよ」
 砦の守備隊長がそういった。
「これです」
 騎兵は懐から割り符を取り出し、それを高々と掲げて見せた。
 すると、小さな通用門がぎぎと開き、兵が小走りで出て来た。
 そして、騎兵から割り符を受け取ると、駆け足で戻っていく。
 守備隊長はそれを受け取ると、自身の持つ割り符とあわせた。
 かっちり符合した。
「ふむ。確かに」
 頷くと、階下の城兵に手を挙げて開門を命じた。
 ぎぎと、正面の城門が大きく左右に開けられる。
 荷車十数台が、その中を、がらがら進んで来る。


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