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−これまでのあらすじ−
アルプスを越えイタリアに攻め込んだハンニバルは、カンネーの地でローマ軍を包囲撃滅(紀元前216年春)。その勢いを駆ってローマ最大の同盟国シラクサを味方に付けることに成功する(紀元前215年初頭)。
が、そのシラクサで政変が起き親ローマ派政府が樹立されると、ハンニバルが送り込んだヒッポクラテス、エピキュデス兄弟は、傭兵を味方につけシラクサ本市に攻め込みローマ派政府を打倒。
さらに、マニアケスが非常の策を用い、天才科学者アルキメデスを味方に付けることに成功。ローマのマルケルス率いる大軍の襲来も、アルキメデス考案の新兵器により見事退けた(紀元前213年)。
シラクサを押さえたハンニバル、ローマに反発するタラスの若者たちを抱き込み、細心の注意を施し、暗闇の中、タラス攻めを開始した。
食欲に負ける(さらに続き)
同じ頃。
ニコンとトラギスコスら率いるタラスの若者たちはテメニデス門に不意に襲いかかっていた。普段、親しく会話をしている間柄ということもあり、ローマ兵は油断を衝かれ、悉く捕縛されてしまった。
「さあ、門を開けよ!ハンニバル殿を迎えるのだ!」
トラギスコスは、城の外に向け松明をぶんぶん回した。
すると、向こうでぼうと火が一斉に灯った。まるで炎の大軍である。
ハンニバル軍である。今か今かと待ち構えていたものだ。
ハンニバル、すっと抜刀した。
「突入だ!」
将兵はここではじめて喚声を上げ、ヌミディア騎兵を先頭にカルタゴ重装歩兵の大部隊が続き、城内にどっと雪崩れ込んだ。
その頃。守備隊長リウィウスは、アゴラ近くの宿舎で、泥酔して眠りこけていた。
「隊長!隊長!」
外でローマ兵ががんがん扉を叩いた。
「うーむ。なんだ」
リウィウスは、指揮官の本能で剣を掴むと、寝ぼけ眼のまま立ち上がった。
扉を開けると、血相を変えた兵がまくしたてた。
「大変です!ハンニバル軍が突入して来ました!」
「な、なんだと!」
「はやアゴラにはガリア兵が現れ、我が兵と戦闘を繰り広げております!」
「ばかな!どこから入って来た!」
「詮索している暇はありませぬ!すぐにお逃げください!」
「わ、分かった」
喚声が既に轟いている。もはや一刻の猶予もない。
リウィウスは、寝間着のまま宿舎を脱兎の如く飛び出すと、市街の北岸の船着き場に出て、そこに繋いである小舟に飛び乗った。そして、従者に漕ぎに漕がせて、アクロポリスへと逃れていった。
リウィウスが逃げ出した頃には、ヌミディア騎兵の馬蹄がアゴラを駆け巡り、抵抗するローマ兵を蹴散らしていた。
「ローマ兵は一人残さず討ち取れ!」
マハルバルは叫んだ。
そこにカルタゴ重装歩兵が押し寄せて来ると、勝負はあった。政府機関はたちまち彼らにより占拠されていく。
ローマ兵はアクロポリスに向かって逃げ出すよりほかなかった。
紀元前212年初め。
タラスの市街は、ハンニバルの軍勢により制圧されたのであった。
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