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ウティカの戦い(続き)
「どうしたっ!もう終わりかっ!」
再びずんと穂先を繰り出して来る。
「わっ!」
テュカイオス、辛うじてかわし得た。が、
「それっ、それっ」
ラエリウス、左右上下、次々繰り出した。
「わっわっ」
襲い来る鋭峰に、テュカイオスたまらず、
「敵わぬ」
突然馬首を巡らせ、後方へと退き始めた。
「卑怯者め!首を置いていけ!」
ラエリウスがテュカイオスを追って馬を飛ばし始めると、他のローマ騎兵も喚声を上げ一斉に後に続いた。
この頃には、マサエシュリ軍は完全に潰乱状態に陥っていた。
ローマ兵はマサエシュリ陣内を縦横に駆け回った。
それは肝心の標的を探しまわってのこと。
「シファクスを探せ!奴を捕らえるのだ!」
だが、王の幕舎に殺到した時は、既に逃げ出した後で無人であった。
「ちっ、どこへ逃げた」
と、その時。
「おっ、あれは…」
ラエリウスの視界に、絢爛豪華な四頭立ての馬車が西の方角に走るのが入った。
(王もしくは王の縁者だな…)
それは王妃ソフォニスバの馬車であった。
敵襲の大混乱の中、逃げ惑っていたのだ。
「よし!あれを捕獲しろ!」
ラエリウス、馬上に戻ると、格好の獲物とばかりに数百の騎兵と共に駆け向かった。
「王妃様!敵兵です!」
御者は仰天して、内なる人に急を告げた。
「急ぐのです。ここで捕まってはなりませぬ」
ソフォニスバは凛とした声で命じた。
自分が捕まることはカルタゴ・マサエシュリ連合にとって痛撃。
だが、駿馬揃いのローマ騎兵、みるみるその距離を詰めていく。
(あと一歩…)
手を伸ばせば届かんばかりとなった。
馬上からも内なる人が透けて見えた。
(女か…ということは王妃ソフォニスバよな)
王妃の危機に、マサエシュリ騎兵が突如馬首を巡らせ向かって来る。
「猪口才な!」
ラエリウス、槍を小枝の如く振り回し彼らを叩き落とした。
そして、ついに馬車の横に寄せると、ギリシア語で叫んだ。
「そこにあられる高貴な御婦人よ!諦めて降伏なされよ!」
だが、馬車の内からは何の反応もない。
「ならば…」
ラエリウス、ぐいと扉に手を伸ばした。引きずり出そうというのであろう。
と、その時。
矢唸りが耳許に轟いた。
「ちっ!」
慌てて上半身を反らせ、槍をぶんと振り抜くや、矢をはっしと叩き落とした。
飛んで来た方角を凝視すると、彼は目を大きく見開いた。
馬上弓を構えてあったのは、女将軍マニアケスであった。
「王妃様は渡さぬぞ。ラエリウス」
「マニアケス…」
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