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ザマの決戦7−時を巡る戦い
その頃、カルタゴ騎兵隊を追撃していたラエリウスとマシニッサの騎兵隊は、激しい交戦の末に、木っ端微塵に粉砕していた。
ラエリウスは、カルタゴ騎兵隊を率いるハシュドゥルバルとの一騎打ちに勝利し、これを追い散らすと、マシニッサと力を併せてテュカイオス率いるヌミディア騎兵を包囲して、これも散々に打ち破った。
「ははは、先のイベリア総督の弟も、マサエシュリの勇者を名乗るテュカイオスも、いずれも大したことはありませんでしたな」
ラエリウス、大して息を乱すこともなく、からからと笑った。
「全くです。これほど歯ごたえがないとは」
マシニッサ、色黒の顔に白い歯を綻ばせた。
「さあ、急ぎ引き返し、敵の背後を衝きましょう」
「うむ。そうなれば、ハンニバルとてどうにもできまい」
ラエリウスとマシニッサは、深追いしている一部の騎兵をラッパを鳴らして呼び返した。そして隊列を整えると、今度は元来た道を一散に駆け始めた。
が、しばらく進むと、前方に砂塵を上げ突き進む騎兵の一団が視界に飛び込んで来た。
「誰だ?味方か?」
ラエリウス、目を凝らしたが、見分けられない。
「いや、違いますぞ…。マッシュリでもローマ騎兵でもないようです」
対するマシニッサはすぐに判別した。草原の住人は視力が尋常ではない。
煌びやかな鎧兜に身を包み、深紅のマントを翻し疾風の如く駆けて来る。
「あれは…!」
マシニッサの瞳が広がった。
「マニアケス!」
「なにいぃっ!」
たちまち周囲は騒然となった。
「マニアケスだと」「あのマニアケスか」
ここにいるのは猛者たちばかり。しかも、兵力は圧倒的にこちらが優位。それなのに、彼女の出現に誰もが浮き足立った。
「落ち着け!」「敵は少数だ!」
ラエリウスとマシニッサは、怒鳴りつけるようにして、味方の動揺を鎮めにかかった。
そこに、マニアケス以下五十騎の騎兵が突入した。
「このマニアケスと渡り合える者はいるか!」
初めうろたえた騎兵たちであったが、気を取り直すと、大いに勇躍した。大物が自ら網にかかりに来たようなものと思ったのだ。
「よし!生け捕りにせよ!」
若いマッシュリ騎兵たちは、彼女の美貌にも邪悪な舌舐めずりを見せながら、おっとり囲みにかかった。だが、男たる者、美しい花にこそ用心しなければならない。
大柄な騎兵がおもむろに接近しようとした。
だが、接近したと思った途端、転げ落ちた。彼女の一突きに一合も交わせず突き落とされたのだ。
それからも、近寄る者全て間合いに入った瞬間、閃光の如く繰り出される穂先に、馬上から突き落とされていく。
「うわっ!」「ぐわっ!」
彼女の前を遮ろうとした者は、悉く馬から転げ落ちたのであった。
マニアケスの勇猛に、麾下の騎兵が続き、面白いように敵兵を追い散らしていく。
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