|
[https://novel.blogmura.com/novel_historical/ranking.html にほんブログ村 歴史・時代小説]
↑
ランキングに参加しています。お越しの際には応援の1クリックをお願いいたします(1日1回有効)
天空の城に舞う
マグネシアに大勝したローマ・ペルガモン連合軍は、すぐさま追撃にかかった。
「サルディスを獲れ!」
「メガスを捕えよっ!」
軍団長ドミティウス、エウメネス王ら指揮官の雄叫びに、
「うおおお!」
ローマ将兵、ペルガモン将兵は地響きの如き喚声で応えた。
全軍、崩れる大王軍を追い、たちまちサルディスへと迫った。
サルディスこそ、大王のギリシア征服事業の拠点。セレウコス朝の創業より守護し続けて来た西方の府。
サルディスに殺到すると、既に軍民共に逃げ去った後と見え、山麓の市街は全くの無人であった。
「エウメネス王よ、ここは片付いた。さらに追撃しようではないか」
ドミティウスが急き込むように言った。
捕虜の言によると、大王は僅かな手勢と共に、さらに内陸深く退却し、どうやらフリュギア地方の都市アパメイア(現ディナル)を目指しているらしい、とのこと。
「いや、アクロポリスを接収しておかねば」
エウメネス王は苦笑して悍馬の如き友邦の将を押しとどめた。
「アクロポリス?」
「あそこでござるよ」
王は山頂を指差した。まさしく天空に聳える頂に、サルディスのアクロポリスはある。
城壁の一角にセレウコス朝の象徴『ヴェルギナの太陽』の小旗が一旒、上空の風にぱたぱた翻っていた。
「ここを捨て奥地に進んだ後で、あそこを敵に占領されては一大事」
なにせ、王は、このアクロポリスに立て籠って二年以上抗戦したアカイオスとの死闘を経験している。ここがどれほどの天険要害か、知り過ぎるほどに知っていた。
ドミティウス、初めて気付いたかのようにまじまじ見上げていたが、
「なるほど、すぐさま押さえましょう」
味方に命令すると、自身も将兵に混じって駆け出した。
そう。このアクロポリスに騎馬で向かうのは不可能。断崖絶壁の稜線を伝って登っていくしかない。
この険しい山道を重装備で登るのは一苦労。誰もがひいふう言いながら登攀していく。
とはいえ、どの顔も意気揚々。
「山頂は先日まで大王の本営が置かれてあったらしい」
「世界一の富国。金銀財宝が残されているに違いない」
宝の山に乗り込むような、そんな気分であったのだ。
そして、厳格な赤髭の猛将ドミティウスからも、
「一番乗りには、わしから槍を取らせてやろうぞ」
冗談めかした声が上がると、どっと歓声が沸いた。
城攻めなどの功労があった将卒には、凱旋式の後に、金銀で装飾された槍が執政官から授与されるのだ。城攻めというほどではないこの場面で、しかも軍団長の彼が言った所に面白みを感じたものだ。
|