|
スパルタのこと-上
小さい頃、「スパルタ教育」という言葉をよく耳にしました。皆さんも心当たりがあると思います。
おりしも、受験戦争全盛の時代。いくつもの塾を掛け持ちしている少年少女たちが、周囲に多くいました。受験のための塾のほか、ピアノ、そろばん、書道、英語、水泳と。
その脈絡で、よく聞いたように思いますので、厳しい教育という意味に、すぐに理解できました。
が、待てよ。
「スパルタ」って何だろう。
中学生になって、ようやくわかりました。
世界史の授業で、それが国の名前であると知ったときは、たいそう新鮮に感じたことをおぼえています。
「スパルタ」の名は、最近、映画にもなりましたので、昔よりは知名度は上がっていると思います。ブラッドピット主演の「トロイ」にもスパルタは登場しましたし。
しかし、ギリシアをテーマにした映画は、どうも単発の思いつきのような構成に見えてなりません。
「スリーハンドレッド」は、今から2500年前の、ギリシア世界とペルシア帝国の対決、すなわちペルシア戦争をテーマにしています。
数十万の大軍で押し寄せてきたペルシアの大軍相手に、三百人のスパルタ(ラケダイモン)戦士が立ち向かうという英雄譚です。
スパルタ王レオニダスは、他のギリシア諸国の兵を逃がし、玉砕します。
ラケダイモン戦士の鏡のような振る舞いです。
その後、ペルシア戦争は、ギリシア方の勝利に終わります。
が、決して、スパルタの働きが決定的だったのではありません。アテネ海軍の活躍を抜きにしては語れません。そうです。対ペルシア戦勝利で決定的な働きをしたのは、テミストクレスなどのアテネの将軍たちなのです。
むしろ、スパルタの首脳たちは陸上戦にこだわったり、ペロポネソス半島への撤退を主張するなど、当初は保守的な態度に終始します(もっとも、最終盤のプラタイアの戦いでギリシア連合軍の指揮を執り、決定的勝利に導いておりますので、働きが小さいわけではありません)。
そういった群像の描写抜きには、ギリシア世界をテーマにした作品は、なかなか面白いものには仕上がらないように思えます。
「トロイ」にしてもしかりです。ホメロスの叙事詩「イリアス」を基にしている映画です。ただ、イリアスの格調高さは、ギリシアの神々が登場してこそのものです。神々が、ギリシアに味方し、またはトロイに味方し、その過程でさまざまな葛藤が描かれているからこそ、単なる合戦物語に堕すことはないのだと思います。
映画には神々は一切登場しません。そのため、単なる野望と野望の衝突でしかなくなり、折角の原典の格調高さが失われてしまったように思えました。残念でした。
https://www.blogmura.com/ にほんブログ村
↑
ランキングに参加しています。よろしかったらクリックをお願いいたします。
|