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伊和辞典を引くのにうんざりして投げ出したスティーブンソンの The Vagabond の伊詩和訳であるが、歳も考えず頑張ってみた。なにしろ原詩を英語で読んだのだから。
訳者の Ferdinando Albeggiani は詩人だけに、忠実な逐語訳では気が済まなくて内容を微妙に変えているのが面白かった。その結果スティーブンソンの意を伝えながら、美しいイタリア語の韻文に仕上げている。
私にはイタリア語は残忍な言語だが、イギリス人がスティーブンソンの原詩を理解するより、イタリア人が Ferdinando Albeggiani の訳詞を理解する方が易しいのではないかと思う。翻訳はたとえ誤解があっても原文より易しくあるべきで、難しくなっていたら翻訳者として失格である。多分その人は理解できていなくてごまかしたのだろう。私の和訳も多分にその傾向があるが、今日の所はこれで切り上げる。
Il vagabondo
Concedi a me la vita che amo
che ciò che mi resta viaggi con me,
dall'alto cielo un allegro richiamo,
sempre una strada davanti a me.
Sotto le stelle, per letto, un cespuglio
cibo, dal limpido fiume, pescato -
E' proprio questa la vita che voglio,
è sempre questa la vita che ho amato
俺には俺の好きな人生を送らせてほしい、
残リ物を持って旅をすればいい、
高い空が機嫌良く、
行く手に道があればいい。
星空の下で茂みを床とし、
きれいな川で魚を釣って生きていけばいい。
これが俺の好きな生き方だし、
これがずっと俺が好んできた生き方だ。
E che il momento della mia morte
sia presto o tardi, poco mi costa,
se camminare sarà la mia sorte
e attraversare la terra vasta
Ricchezze, amore, speranza non cerco
Neppure pretendo un amico vicino,
Soltanto voglio sopra me il cielo
E una strada sul mio cammino.
遅かれ早かれ、俺の死の瞬間が、
やって来るだろうが、俺には些細なことだ。
歩き続けること、
広い大地を歩き通すことが俺の定めだ。
富も、愛も、希望も求めはしない。
身近な友人を得たいとも思わない。
ただ望むのは俺の上の空と
俺の前途にある道だけだ。
E se su di me l'autunno discende
Là dove il mio tempo trascorro lontano
muto l'uccello sul ramo che pende
intirizzita dal freddo la mano,
bianco di neve il campo gelato,
caldo il riparo del focolare,
non sarà questo che mi avrà fermato
neppure l'inverno mi potrà arrestare.
遠く離れて俺が時を過ごしているところへ
俺の上に秋が下りてくる。
枝にとまった鳥は押し黙り
指は寒さでかじかみ、
凍った野は雪のように白くなっても、
俺の避難場はたき火であたたかい。
俺はこれを止められない、
冬も俺を止めさせられない。
E che il momento della mia morte
sia presto o tardi, poco mi costa,
se camminare sarà la mia sorte
e attraversare la terra vasta.
Ricchezze, amore, speranza non chiedo
Neppure pretendo un amico vicino,
Voglio soltanto sopra me il cielo
E una strada sul mio cammino.
遅かれ早かれ、俺の死の瞬間が、
やって来るだろうが、俺には些細なことだ。
歩き続けること、
広い大地を歩き通すことが俺の定めだ。
富も、愛も、希望も求めはしない。
身近な友人を得たいとも思わない。
ただ望むのは俺の上の空と
俺の前途にある道だけだ。
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翻訳についての考え方、ぼくもまったく同感です。
理解不能な訳というのは、原文自体が理解不能なものなのではなく、
訳者がちゃんと理解できなかったから変な訳になっただけなのですよね。
以前ぼくは、
古代の哲学の本の日本語訳を読んでいると、
まったく話の筋が通っておらず、
どうもおかしいな、
古代の人と現代のぼくの頭のしくみ・論理はかなりちがうようだ、
と思っていましたが、
実際自分で訳すようになってみると、
古代人の書いた原文の筋が通ってないのではなく、訳の筋が通ってないだけだということがわかってきました。
わかりやすい訳、しかも予備知識のまったくない人々にも理解できるような訳、
そういう訳が理想なのです。
ぼくもこれから精進してそういう訳に近づけていくつもりです。
2008/10/17(金) 午後 1:04 [ ダクセルくん ]
vagabond というと「冬の旅」の悲しいさびしい世界を思い出しました。
シューベルトはまったく趣味でないですが、あの歌の詩は好きです。
今ドイツ語を土曜と日曜だけ勉強してますが、
ドイツ歌曲の歌詞とその対訳と、初級者向けの文法説明のついた本
(『ドイツリート名詩百選』音楽之友社)
がうちにあったので、それを利用しています。
父さんの本ですが、父さんは薬学部だったのでドイツ語を習ったそうです。(習ったことはみな忘れたそうですが。)
その学校のサークルかなんかでドイツリートをみんなで歌ったもので、歌詞をたくさん覚えてるみたいです。
あと、きのうの夜中、はじめてギリシャ語を自力で読むのに挑戦しました。
そしたら、読めたんです。
完全にではないでしょうが、初めてとしては、ラテン語を初めて自力で挑戦したときよりずっとましに読めました。
あとで、その読めたところを訳とともにここで見せようと思います。
2008/10/19(日) 午後 3:07 [ ダクセルくん ]
この2、3日更新がないところを見ると、また気力が衰えている時期に入ったのでしょう。早く回復されることを願っています。インターネットは体を壊すから気をつけてください。
ギリシャ語で読めたところを紹介します。本文はインターネットサイトからでなく、本からです。3ヶ月お金をためて買った(15000円もしました)、アフロディシアスのアレクサンドロスの本です。前、英訳本だと思って買ったら、ギリシャ語原文と注釈だけの本だったのです。で、いつか読もうと思っていました。
ギリシャ語の打ち込み方がわからないので、ローマ字に直して打ちます。
2008/10/20(月) 午後 1:57 [ ダクセルくん ]
hoti physei to dikaion, deiknytai ek tou physei koinoonikon men einai ton anthroopon, me dynasthai de koinoonian diamenein chooris dikaiosynes.
(<to be good by nature>, he means by this <for man to be social by nature>, and he shows that without goodness it is impossible to keep living with others.)
hoti de physei koinoonikon, delon ek tes energeias.
(what it is <to be social>, is clear from the real example.)
2008/10/20(月) 午後 1:57 [ ダクセルくん ]
ou gar toiouton ho anthroopos, hoos monon bioun kai eph' heautou dynasthai.
(for there is no such man, as can live alone and by himself.)
hoos oun ta alla zooia ta synagelazesthai pephykota physei phamen tout' echein, houtos kai ho anthroopos physei an echoi to koinoonikos einai, en koinooniai tei pros allelous aiei katazoon.
(and just as we say other animals which are made to gather together by nature are such, man can be by nature social, living in socialness with one another.)
2008/10/20(月) 午後 1:58 [ ダクセルくん ]
後で読んだらこの先も読めました。fminorop さんにほめてほしかったですが、お返事はいりません。インターネットで読んだり打ったりすると体に悪いですから。それより早く回復してください。
2008/10/20(月) 午後 1:58 [ ダクセルくん ]
私はちょっと気を許すと風邪を引いてしまいます。年がら年中です。今回はPCまでも付き合ってくれました。どう考えてもPCを取り替える時期ではないと思い、いじくりまわしましたが、かえって外付けHDが動かなくなりました。少々気落ちして本を読んで時間をつぶしていました。PCから離れた生活も悪くありませんでしたが、皆様にご心配をかけました。
今も微熱があるのですが、PCは立ち直ったので追々投稿する予定です。
2009/1/26(月) 午後 0:43 [ fminorop34 ]