ヘ短調作品34

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私同様老後の生活を送っている大学時代の同級生とメイルのやりとりすることが多くなった。どうしても大学時代の思い出話になることが多い。その話題のひとつが、英語の授業のテキストになったオルダス・ハクスリーの短編小説集である。短編の最初は「Young Archimedes(若きアルキメデス)」である。その次の短編が「Gioconda's Smile (ジョコンダの微笑)」である。たしか出版社は南雲堂であったような気がする。二人とも「若きアルキメデス」の印象は鮮明であるが、「ジョコンダの微笑」についてはおそらく途中で学期が終了したのであろうか、あまり記憶には残っていない。

人間忘れるのは当然だが、若い頃より老いを痛感するだけ情けない。ただ、ひょんなことで断片的で不正確な記憶を取り戻すこともある。「ジョコンダの微笑」の主人公は女を抱いていながら、女の鼻や首筋をみては、イタリア美術の巨匠の描いたビーナスの鼻や首筋を連想する。チューターの先生が、D.H.ローレンスだったら、もっと熱烈に女を抱いて他ごとを考えはしなかっただろうといったのを想い出した。友人は別の箇所を想い出した。

最近懐かしくなって彼の短編集を取り寄せて読み直してみた。「ジョコンダの微笑」の主人公は地主の跡取りで一流大学を出た人物である。さらに容姿端正ときているから女旱には縁のない人物である。しょっちゅう成り行き任せの浮気をしているが、本気で恋をしたことはないし、女性を崇拝したことはない。恵まれているので何事にも感動はない。

ストーリーの伏線として、主人公は芸術愛好家気取りのスノッブのオールドミスに、「あなたの微笑は(モナリザのモデルとされる)ジョコンダ・デ・ビトーの微笑みのようですね」と心にもないお世辞を言ったのだが、この一言が彼の運命を決定することになる。真に受けた女はジョコンダを真似て彼に微笑みかけるようになった。あの微笑みは真似ようとして真似られるものではないが。

彼には今は病弱で寝てばかりで、かっての容色がすっかり衰えた妻がいる。病妻に哀れみの感情を抱きながらも今は、若い女性とただなんとなく関係を持ちはじめている。その日も用事があると嘘をいい、彼女とランデブーの予定である。出かける前に細君に確かお茶をを持ってきたり、優しく声をかけていた。

その後自動車で出かけて彼女と仲良くしていたのだが、病弱な奥さんの容態が急変し、死亡した。彼はまもなく彼女と結婚し、彼女は妊娠した。その後警察に奥さんの死亡に疑問ありとする投書があった。はたして墓を掘り起こし検死すると、砒素中毒であることが判明した。容疑は身持ちの悪い主人公にかかり、裁判では不利な証言ばかりが出てきた。若い女と結婚するために奥さんを殺したということで陪審の意見は一致し、彼は死刑の判決が下り、刑が執行された。殺人犯の子を宿した若い妻が後に残された。

その後不眠症になやむ「ジョコンダの女」を診断した医者が、「あなたが奥さんを殺したのですね」といったところで小説は終わっている。

ところでハクスリーはイギリスからイタリアに行き、最終的にカリフォルニアに定住し、ハリウッドのために映画の脚本も書くようになった。「ジェーン・エア」も彼の脚本だそうだ。この「ジョコンダの微笑」も彼自身の脚本で映画化されている。この映画のビデオを年末に買い入れた。この映画についての感想はまたの機会に紹介しよう。

写真はハクスリーである。


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