ヘ短調作品34

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英詩和訳

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イギリス海軍の水兵達が申し訳なく思うくらいの、ほとんど大虐殺ともいえる、大勝利を納めた「アブキールの戦い」で、一人の子供が甲板に立っており、その後大爆発をおこして沈没した。この光景はイギリスの水兵達に大きな衝撃を与え、語り伝えられ、若きカサビャンカは伝説上の人物になった。そしてヘマンズ夫人の「カサビャンカ」は文学的価値よりも、その教訓的価値で長く記憶されることになった。

3回連続で「カサビャンカ」を取り上げることになるが、この記事はイギリスのヴィクトリア朝の「道徳教育」やアメリカの教育事情を多少とも知らないと理解できないものである。

まずイギリスの小説家サムエル・バトラーの小説である「万人の道」であるが、これは自伝的小説であるので、前回「彼」と訳したところを「僕」にしておこう。もう一人の「彼」との混乱が避けられ、若干理解が容易になるかもしれない。前回の訳を修正してもう一度紹介しておこう。「カサビャンカ」がイギリスで親が美談として言って聞かせたことが推察される。

<ある時、僕はカサビャンカについて考えた。僕は父親から以前にこの詩で試されたからである。「少年が持ち場を離れるとしたら、それはいつか?少年は誰に言ったか?ここで散った最も高貴な精神は誰のものか?お前はそう思うかね?なぜそう思うのかね?」等々。もちろん僕はカサビャンカの命がここで散った最も高貴な命であると思った。それについては全く異論はない。ただ僕が思いつかなかったこの詩の教訓は、親に従順といっても程というものがあるが、若い人にはそれがとっさに判断できないという点にあることだ。>

さらに

<でも、でも!心に浮かんだのは、僕は決してカサビャンカみたいにはなれないし、もしカサビャンカが僕を知ったら、カサビャンカは僕を軽蔑するだろう。彼は僕に優しく語りかけはしない。艦の中には数えるに値する人物は他にはいなかったのだ。連中がどれだけ吹き飛ばされようと問題ではなかったのだ。ヘマンズ夫人はすべて知っていた。そんな連中はどうでも良かったのだ。それにカサビャンカはハンサムで名門の出なのだ。>


イギリス的道徳価値観の伝道師で、自身キリスト教の伝道師である McGuffey がアメリカで教科書を書いた。読本は聖書についで一大ベストセラーになり、white anglo-saxson protestant を模範的なアメリカ人とする価値観を形成するのに貢献したようだ。すなわち、反ユダヤ主義、インディアンを野蛮人と呼ぶなど、人種差別的であり、現在では問題がある。たしかに西部開拓時代、学校教育を受けられなかった人々に英語を読み書きできるようにした功績は大であるが。現在でもこの読本はアメリカの保守的なキリスト教団体に推奨されているし、自分の家で子供を教育したいという親によって購入され続けているという。事実アマゾンで買うことは可能である。

上の絵は McGuffey の教科書の目次である。前回の Wikipedia の 記事よりも早い段階で The Obedient Casabianca" として、「カサビャンカ」が取り上げられており、読本の第2巻である。205ページにあることが確認されるであろう。ここでは見えないが、下には Story about George Washington というのがある。われわれも戦後学んだ桜の木を切って正直に告白したジョージの話が載っているのであろうか。

http://www.howtotutor.com/elesec2.gif

http://www.howtotutor.com/samples1.htm

ヘマンズ夫人は愛国者であったが、彼女の詩は「星とかスミレ」を歌った詩がお得意であり、それで印税を稼いだ女性である。バイロン卿には「花はあるが果実がない」とどっかで聞いたような批評を受けたが、やはり人気のある詩人であり、二流以上の詩人であったそうである。彼女もまさかこの詩がアメリカ人に長く記憶されることになろうとは思わなかったであろう。彼女の真意はどこにあったのかわからなくなってきたが、やがてヴィクトリア的な価値観に対する反発とともに、彼女の詩も否定される運命を免れなかった。

ただ彼女は恋愛結婚で結ばれた男性とやがて別居し、印税で5人の子を育てた女性であり、最近のフェミニストの研究対象になっているようである。


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