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ここでコーク大尉に会い、私は彼の貸してくれた馬車にのり、クリードも同乗してセント・ポールにいきワトリング街に沿って歩けるだけ歩いた。どの人も持ち出せる家財を背負って出てきた。あちこちでは病人がベッドで運ばれていた。貴重品は荷馬車や背負って持ち出されていた。ついにカニング街で市長と出会った。疲れ切って様子で首には布をまいていた。王の命令に、失神寸前の女のような声を出し、「主よどうしましょう?もう疲れきったよ。わしのいうことに誰も従わないよ。家を引き倒してきたが、それ以上に火の廻りが速くて。」もうこれ以上手勢があっても意味がない、市長自身ここを立ち去り、元気を回復しなければ行けない。市長は立ち去った。私も同様に家に戻った。途中気が転倒している人達を見た。火を消す方法はなかった。
家々もそこら中混雑して、テームズ街には、ピッチやタールのような燃えやすい材料がいっぱいあり、油倉庫、ワイン、ブランディー等があった。この街で端正な容姿のアイザーク・ハウブロン氏がダウゲートの入り口にいるところで出会った。立派な身なりをしているが、汚れきっていた。家が燃えていた弟から家財の運び出しを手伝っていた。彼が言うには、もう二回も運び出したが、自分の家から運び出す時間はもうないと思うといっていたが、まもなくその通りになった。
教会は避難民の家財であふれていた。この時間はここで静かな時間を過ごすところであったのに。およそ12時頃であった。私は家に向かった。家には訪問者がいた。ウッド氏と奥さんのバーバリ・シェルドン、それにムーン氏もいた。彼女は非常に元気で旦那さんも多分元気そうだった。
ムーン氏も私も納戸越しに外の光景を見たかった。彼は見たかったのだが、すっかりしょげかえった。この火災で自分たちが大変な騒動に巻き込まれており、どう考えて良いか分からないかった。
しかし非常に豪華な食事をし、こういうときには出来るかぎり陽気にふるまった。食事中バテライアー夫人がやってきて、ウルフ氏とステインズ氏の消息を聞きに来た。彼女はどうも二人の親戚らしい。フィッシュ街の二人の家は全焼し、困っているとのこと。食事を済ませると私とムーンは出かけた。シティーを歩いて通った。街は人と馬、家財を積んだ荷車であふれていた。たがいに先を行こうと争っていた。朝荷を受け取ったカニング街からロンバード街さらに遠くへと運び出していた。その中に金匠のストークがいた。友人の家財の運び出しを手伝っていた。その家は翌日に燃えた。私達はセント・ポールを離れた。ムーンは家に向かい、私はポール波止場に向かった。そこに私の乗船を指定してあった。街で出会ったカーカッス氏と弟をのせ、橋のあたりまで乗せていった。ふたたび火を見たが、さらに火の手は橋の上流にも下流にも進み、止まりそうにもなかった。
艀におられる王とヨーク公と面会し、ともにクイーンヒスまで同行し、サー・リチャード・ブラウンを呼び出した。二人の命令は速やかに家屋を破壊せよというものであった。橋の下の川辺の家も同様であるとのことであった。命令はほとんど実行されなかった。火の手があまりに速かったからである。しかるべき手段をとれば、スリーン・クレーンとバットルフ埠頭で火が止まってくれるのではという希望があった。しかし風がシティーに火を送り込み、水辺でかくも速いのは経験したことがなかった。河は家財を取り込む艀や船でいっぱいであり、貴重品が水につかっていた。家具を運び込む艀や船は三艘に一艘もなかったが、二台のヴァージナルがあるのを見つけた。
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