ヘ短調作品34

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ロンドン大火3

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1666年9月4日   サムエル・ピープスの日記

夜が明けると、私は残りの荷物を出した。これはアイアン・ゲイトの艀に乗せた。手伝う人が少なくて全部運び込んだら午後になってしまった。サー・W・ペンと私はタワー街に行ったが、そこでハウエル氏の家の三軒か四軒先が燃えていた。ハウエル氏の家財、盛り皿、皿、スプーン等はタワー街沿いに投げだされて、皆ががあちこち移動しては作業していた。火の手はこの狭い小路に両側から迫ってきており、物凄い勢いである。

サー・W・ブラッテンにはワインを運ぶ手だてが分からず、庭に穴を掘り、そこに埋めた。私はこの機会にこんな時でなければ処分できなかった役所の紙を下に敷いた。夜になってサー・W・ペンと私とで穴を掘り、ワインを入れた。私はワインとかのほかにパルメザン・チーズを埋めた。

ヨーク公は今日サー・W・ペンの執務室にお見えになったが、たまたま私は居合わせなかった。午後サー・W・ペンと庭ですわっていたが、憂鬱であった。この役所が燃えるのは確実であると思ったが、さしたる妙案もない。ウールウィッチとデプトフォードの作業員全員の派遣要請を提案した。まだ一人として来ていなかった。私はサー・W・コヴェントリーに手紙を出した。この役所がなくなれば王のお仕事に支障を来すので、住居を引き倒す許可をヨーク公にお願いする内容であった。

サー・W・ペンは明日の朝までに届くよう、この夜出かけていった。私はこの作業についてサー・W・コヴェントリーに手紙を出したが、返事を受け取っていなかった。この夜、ターナー夫人は(彼女は家財を一日中運びだしていた。貴重品は庭に出したが、どうして良いか分からなかった)とご主人はわれわれ夫婦と一緒に役所で夕食をともにした。調理された羊の肩の肉であったが、残念ながらナプキンも何もなかったが、それでも陽気だった。

時々庭に出てみたが、空の様子の物凄いこと、夜あらゆるものが燃えており、われわれは気が狂いそうである。じつに恐るべき光景である。まるでわが家までが燃えてるようである。夜空をすべて焦がさんばかりである。

食事を済ませてからタワー街に徒歩でゆき、向こう側のトリニティ・ハウスとこちら側のドルフィン・タバーンではすべて炎上しているのを目撃した。ドルフィン・タバーンはわれわれに近く、火の勢いはすざまじい。タワー街のタワーに隣接する家屋の取り壊しが始まった。これには人々は仰天したが、取り壊したところでは火の手はおさまった。家屋を立っていた場所で引き倒すのであるが、少々の火は消すことが出来、火が燃え出すことはほとんどなかった。

W・ニューワーが今日母親の様子を見に行き、夜遅くに家に戻ってきた。彼の話によれば、パイ・コーナーにある家が焼けてしまったので、イスリントンに避難させなければいけなかった。火の手はそこまで進み、フリート街にひろがり、セント・ポールは焼け、チープ・サイド全域は焼けた。今晩父に手紙を出したが、郵便局は焼けた。手紙は届かないだろう。


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