ヘ短調作品34

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「今日の詩」は選者が一週間以上前に送ってきたイェーツの「ビザンティウム」である。イェーツの詩でこれほど悩んだのは経験がない。今日ウェッブで非常に論争点が多く、大学の先生の論文ネタになっている難解な詩であることを知った。自分でも理解して訳しているわけではないが、投稿してみることにした。

イェーツが現在のイスタンブールを訪問し、滅亡したビザンティウムの過去に思いをはせるというなら、話は簡単である。詩人というものは親切ではない。過去形ではなく、現在形で亡霊がビザンティウムの街を闊歩する。

ビザンティウムは東ローマ帝国の首都であり、トルコに攻め滅ぼされるまでヨーロッパとアジアを結ぶ拠点として栄えた。ビザンティウムはキリスト教の牙城であるが、元々ギリシア人の都市である。この詩にはギリシャ神話とキリスト教の伝説がはめ込まれている。


Byzantium

The unpurged images of day recede;
The Emperor's drunken soldiery are abed;
Night resonance recedes, night walkers' song
After great cathedral gong;
A starlit or a moonlit dome disdains
All that man is,
All mere complexities,
The fury and the mire of human veins.

Before me floats an image, man or shade,
Shade more than man, more image than a shade;
For Hades' bobbin bound in mummy-cloth
May unwind the winding path;
A mouth that has no moisture and no breath
Breathless mouths may summon;
I hail the superhuman;
I call it death-in-life and life-in-death.

Miracle, bird or golden handiwork,
More miracle than bird or handiwork,
Planted on the star-lit golden bough,
Can like the cocks of Hades crow,
Or, by the moon embittered, scorn aloud
In glory of changeless metal
Common bird or petal
And all complexities of mire or blood.

At midnight on the Emperor's pavement flit
Flames that no faggot feeds, nor steel has lit,
Nor storm disturbs, flames begotten of flame,
Where blood-begotten spirits come
And all complexities of fury leave,
Dying into a dance,
An agony of trance,
An agony of flame that cannot singe a sleeve.

Astraddle on the dolphin's mire and blood,
Spirit after Spirit! The smithies break the flood.
The golden smithies of the Emperor!
Marbles of the dancing floor
Break bitter furies of complexity,
Those images that yet
Fresh images beget,
That dolphin-torn, that gong-tormented sea.

William Butler Yeats




ビザンティウム


日中の不潔な幻影は退く。
皇帝の酔いどれ兵士も就寝し
大聖堂の鐘がなり
夜の静寂を破る歌声も去る。
月と星に照らされたドームは
人間すべてを見下す
すべては細工品
狂気と屈辱の気質。

私の前にある形が浮かぶ 人か亡霊か
人よりは亡霊 亡霊よりは幻影。
ミイラを包む冥界の王の巻き糸は
絡み合った小路を解す。
乾いて息もしない口が
死者の口を呼び起こす。
私はこの冥界の王を迎え
生ける死と死せる生と呼ぶ。

奇跡の細工に鳥の金細工
奇跡の細工! 鳥の細工は
星明かりの金の枝に留まり
鳴き声は冥界の王の雄鶏のごとく
侮辱された月をよそ目に
腐食しない金属を誇り
声高に並の鳥や花弁
泥や血の細工品を罵る。

深夜皇帝の路を炎が走る
薮も火打ち石も必要ない
嵐の飛び火もないが、炎は炎を生み
血気にはやる霊が来ては
狂気の細工品どもを見捨てる
死の間際の舞踏
恍惚の苦痛
袖も燃やさぬ炎の苦痛。

泥と血のイルカにまたがり
次から次へと霊が!細工師が大火を鎮める。
皇帝の金細工師たちが!
細工品の激しい怒りを静める
舞踏会の床の大理石
この幻影がさらに
あらたな幻影を生む
イルカに乱され、警鐘に苦しむ海。

イェーツ

最後になるが、この詩はなかなか凝った韻文詩である。


詩の構造

この詩は5詩節から成り、1詩節8行である。音節が不揃いであるようだが、各詩節の音節数は [10, 10, 10, 8, 10, 6, 6, 10]である。さらに脚韻は [a, a, a, b, b, c, d, d, c]で構成されている。

* 第1詩節の月と星はビザンティン帝国のシンボルである。
* 第2詩節の「冥界の王」とはギリシア神話の冥界を支配する神である。
* 第3詩節の「鳥の金細工」とはギリシア人の金細工師の作ったものであり、ビザンチン帝国の有名な産品である。ヨーロッパ各地にある聖遺物はほとんどがビザンティウムで製造されたものである。聖地エルサレムを巡礼した信者は、大枚をはたいて「キリストの聖遺物」と称するものを買い込んだ。
* 同じく第3詩節の「泥や血の細工品」と誤魔化したが、不滅ではない人間のことを指すのだろう。
* 第5詩節の「イルカ」であるが、ギリシア神話では死者を冥界に運ぶとされているそうである。

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