ヘ短調作品34

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「今日の詩」はイェーツの「イースター1916年」である。選者は季節にあわせて詩を送ってこない。データベースからランダムに選んでいるような気がする。今年のイースターはとっくに終わっている。「今日の詩」もランダムな選考かもしれないが、イェーツの「イースター1916年」は、季節とは何も関係もない史実に基づく詩である。アイルランド独立に大きな意味のある事件「イースター蜂起」のことである。

イギリスと歴史的な対立関係にあるアイルランドで1916年に反乱が起きた。反乱はイギリス軍によって粉砕され、首謀者と目される人たちは銃殺された。アイルランドの詩人イェーツは反乱が終わった後に、銃殺された人々を偲びこの詩を書いた。

私は、この事件に関してはよく知らないが、この事件に関する映画を観たことがある。良く理解できなかったので、詳しく記憶していない。今日あわてて色々調べてみた。今日の投稿はほんのメモである。アイルランド人なら誰もがわかるはずの第2詩節。イェーツが彼女とか彼とか言っているのは誰のことなのか難しかった。これを機会に入手可能であれば映画化された事件のビデオを借り、この事件を勉強し、あるに決まっている誤訳を修正することにしよう。

この80行の詩は完全韻とはいえない場合もあるが、形式的には4行詩の集合体であり、それぞれ [a, b, a, b] のくり返しである。 4行ごとに空白を入れて見れば分かる。



Easter, 1916

I have met them at close of day
Coming with vivid faces
From counter or desk among grey
Eighteenth-century houses.
I have passed with a nod of the head
Or polite meaningless words,
Or have lingered awhile and said
Polite meaningless words,
And thought before I had done
Of a mocking tale or a gibe
To please a companion
Around the fire at the club,
Being certain that they and I
But lived where motley is worn:
All changed, changed utterly:
A terrible beauty is born.

That woman's days were spent
In ignorant good-will,
Her nights in argument
Until her voice grew shrill.
What voice more sweet than hers
When, young and beautiful,
She rode to harriers?
This man had kept a school
And rode our winged horse;
This other his helper and friend
Was coming into his force;
He might have won fame in the end,
So sensitive his nature seemed,
So daring and sweet his thought.
This other man I had dreamed
A drunken, vainglorious lout.
He had done most bitter wrong
To some who are near my heart,
Yet I number him in the song;
He, too, has resigned his part
In the casual comedy;
He, too, has been changed in his turn,
Transformed utterly:
A terrible beauty is born.

Hearts with one purpose alone
Through summer and winter seem
Enchanted to a stone
To trouble the living stream.
The horse that comes from the road.
The rider, the birds that range
From cloud to tumbling cloud,
Minute by minute they change;
A shadow of cloud on the stream
Changes minute by minute;
A horse-hoof slides on the brim,
And a horse plashes within it;
The long-legged moor-hens dive,
And hens to moor-cocks call;
Minute by minute they live:
The stone's in the midst of all.

Too long a sacrifice
Can make a stone of the heart.
O when may it suffice?
That is Heaven's part, our part
To murmur name upon name,
As a mother names her child
When sleep at last has come
On limbs that had run wild.
What is it but nightfall?
No, no, not night but death;
Was it needless death after all?
For England may keep faith
For all that is done and said.
We know their dream; enough
To know they dreamed and are dead;
And what if excess of love
Bewildered them till they died?
I write it out in a verse -
MacDonagh and MacBride
And Connolly and Pearse
Now and in time to be,
Wherever green is worn,
Are changed, changed utterly:
A terrible beauty is born.

Yeats


イースター1916年


私が出会った夕暮れ
売り場や事務机から解放され
生き生きとした表情で
18世紀の灰色の建物から
みなは出て来た。
通り掛かりに会釈や
丁寧な挨拶を受け
私もしばらく立ちどまり
ありきたりの言葉を交わし
クラブの暖炉で
友人を笑わせる
冗談を思いついた。
連中と私が住んでいた所は
現在色とりどりになっている。
すっかり変わってしまった。
恐るべき美が誕生した。

あの女の一日は
乱暴な愛で暮れたのだ。
夜になるとは口論し
声は甲高くなった。
ウサギ狩りに出掛けた
若くてきれいだった頃
彼女の声は素敵だった。
この男は学校の教師だった
我らを指導した。
もう一人は彼の助手で友人で
彼の仲間になろうとしていた。
いずれ彼は名声を博していたかもしれない
生まれつき機転がきき
大胆な思考の持ち主だった。
もう一人の男は飲んべえで
自惚屋の無骨者と僕は思って来た。
僕が好きだった人たちに
大変迷惑をかけたが
僕はそれでも詩に書くつもりだ。
この男は思いつきの劇で
自分の役を断った。
それも出番になってから。
全く変わってしまった。
恐るべき美が誕生した。

夏も冬も一つことしか
考えない人は
流れを分ける石に
魅せられるようだ。
路をやってくる馬。
乗る人、雲から雲へと
渡る鳥の列
刻々と変化する。
流れに写る雲の影は
刻々と変化する。
馬の蹄は水際で滑り
水で音を立て
足の長い雌のバンは水に潜り
雌鳥は雄雷鳥を呼ぶ。
刻々と生きている。
石だけが中心にいる。

あまりに長い間
充分すぎるほど忍耐すると
心は石になってしまうのだろうか?
これは神の役割、われらの役割は
名前を呼び続けること
まるで母親が子供の名前を言い続け
そのうちに動いていた手足に
眠りがやってくるようだ。
これは単なる夕暮れだろうか?
いや夜ではない、死なのだ。
結局は無意味な死だったろうか?
イギリスは行為と主張すべてに
信念を曲げないだろう。
我らは彼らの夢を知っているし
死ぬまで夢を見てきたことも知っている。
死にいたる過激な愛に狼狽していたら
一体どうなったであろう?
私は、このことを詩に書く ―
マクドノー、マックブライド
コノリー、ピアース
緑の服を着ている所なら
今も、これからも。
変わった、すっかり変わった。
恐るべき美が誕生した。


イェーツ


この事件に関して、日本語ウィキペヂアは、まだ不完全であるが参照されたい。


この詩に登場する固有名詞で日本語ウィキペヂアに登場するのは記事とはいえないが
コノリー

ピアースである。

MacBride と MacDonaghは英語ウィキペヂアに登場する。





写真は反乱軍が収容された刑務所Kilmainham Jailである。

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