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カンガ・ディン こんな安全な所に駐屯しているときや こせり合いや兵営にいるときは ジンやビールの話をしてもいいさ。 でも大戦闘になったら 水運びの仕事をすることになる 弾を喰らって血だらけの奴に急がねばならん。 インジャは日差しがきつい あそこで俺は女王陛下に お仕えしたものさ。 みんな黒い顔した連中だが 一番優秀だった奴は 連隊のビティ、ガンガ・ディンさ。 そいつがディン!ディン!ディンさ! この汚いビッコ野郎、ガンガ・ディン、ぐずぐずしおって! オイ!早くもってこんか! 水だ、飲め!パネー・ラオ! この鼻水垂らしやがった老いぼれ奴! あいつが着ていた制服といやあ 前はほんのわずかだった。 後は半分以下だったよ よれよれのボロと 山羊皮の水袋 これがあいつの装備一式だ。 汗まみれの軍列が 日中退避して横になり 熱で瞼がムズ痒くなるとは 俺らは「こっちだ!」と叫んでは 咽をカラカラにしちまったものさ。 全員に水が支給されないとあいつを殴った。 この野蛮人、貴様は一体どこにいたんだ? もっとテキパキやれ 貴様が俺のヘルメットを一杯にしなかったら、 俺は貴様をすぐにのしてやるからな、ガンガ・ディン! あいつは長い一日が終わるまで びっこを引いていたものさ それに恐れを知らないみたいだった。 わが軍が攻撃し、遮断したら 必ず血を流すものさ あいつは右翼で50歩の所で背中に 水袋を背負って待っている。 あいつは攻撃のときは一緒に走り 「後退」のラッパが鳴るまで俺達を見ていた。 皮膚は汚いけれども あいつの中身は真っ白だったよ 弾をくぐって負傷兵に駆けつけたぜ。
そいつがディン!ディン!ディンさ!
弾が草の上にすげえ埃を上げて弾薬が尽きると 前線の将校の大声が聞こえたものさ 「オーイ、弾薬ラバとカンガ・ディン!」 俺は忘れもしない あの夜、俺は落伍しちまった 俺の弾帯の当たりに一発食らったらしい。 俺の息が詰まり、渇きで狂いそうだったが 最初に俺を見つけてくれたのはあの男 ニタニタ、ブツブツの戦友ガンガ・ディンさ。 俺の傷口を抑え 俺に半ピントの水をくれた ―緑色だ。 汚くてくさかったが これを全部飲んでしまったよ カンガ・ディンの水に感謝しているよ。 腹に弾を喰った野郎がいれば あいつは地面を張って、そこら中探し回り 何としても水を手に入れたガンガ・ディン! 俺を運んでくれたぜ 担架が置いてある所に 弾が出てきて、なんとも哀れな俺を拭いた。 あいつが死ぬ前のことだった。 「あの水が欲しかったと思えました」といったガンガ・ディン。 俺もそのうちあいつに会うだろうよ あいつが行っちまった所でな − 訓練は今の倍になり、酒保もありはしない。 あいつは石炭の上にしゃがみ込み 汗まみれの呪われた連中に水をくれているさ 俺はぜひとも頂戴するぜ、ガンガ・ディン! 貴様は薄汚いガンガ・ディン! 俺は貴様を殴り、ムチで打ったが、 貴様の神様にかけていうが 貴様は俺よりずっと上等だ、ガンガ・ディン! キップリング
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キップリング
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桜と日本人ですね。なぜか、三島由紀夫を思...



私には、いい詩のように思えますが。不勉強でキップリングのことは全く知りませんでした。が、相容れないことを認めた上でのやさしさのようにも思えます。誰の言葉か忘れましたが、<自然には平等なんてありゃせん!>だったか。たぶん、これが人の叡智(文化)の始原なのでしょうか。反動的ドストエフスキーの人間性は好みとするところでもあります。なんだかんだで、最終詩節句はいいです。愛惜でしょうか。
2007/6/16(土) 午前 0:20
キップリングに関しては私は全く無知でした。「ジャングル・ブック」の作者でした。だが知りだすにつれてという感じです。今まで詩にはならなかった題材を取り上げ、形式的には見事な詩を書いたのです。現在アメリカでは野蛮なインディアンをやっつけるジョンン・ウェイン映画の類は制作されていません。一方でキップリングを送ってくる。自由の国アメリカということでしょうか。
2007/6/16(土) 午前 10:49 [ fminorop34 ]