ヘ短調作品34

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トラークル

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今日のドイツの詩もトラークルの「夢見るセバスティアン」の第6部「エリス」である。第5部にも登場したエリスを歌った詩である。トラークルにはだいぶ慣れてきたような気がするが、少し訳文を変えてみた。相変わらず「青」、「黒」、「金」等の色で彩られ、「静寂」を強調する音が微かに響く詩である。

Elis

1
Vollkommen ist die Stille dieses goldenen Tags.
Unter alten Eichen
Erscheinst du, Elis, ein Ruhender mit runden Augen.

Ihre Bläue spiegelt den Schlummer der Liebenden.
An deinem Mund
Verstummten ihre rosigen Seufzer.

Am Abend zog der Fischer die schweren Netze ein.
Ein guter Hirt
Führt seine Herde am Waldsaum hin.

O! wie gerecht sind, Elis, alle deine Tage.
Leise sinkt
An kahlen Mauern des Ölbaums blaue Stille,

Erstirbt eines Greisen dunkler Gesang.
Ein goldener Kahn
Schaukelt, Elis, dein Herz am einsamen Himmel.

2
Ein sanftes Glockenspiel tönt in Elis’ Brust
Am Abend,
Da sein Haupt ins schwarze Kissen sinkt.

Ein blaues Wild
Blutet leise im Dornengestrüpp.
Ein brauner Baum steht abgeschieden da;

Seine blauen Früchte fielen von ihm.
Zeichen und Sterne
Versinken leise im Abendweiher.

Hinter dem Hügel ist es Winter geworden.
Blaue Tauben
Trinken nachts den eisigen Schweiß,

Der von Elis’ kristallener Stirne rinnt.
Immer tönt
An schwarzen Mauern Gottes einsamer Wind.

Trakl


エリス

1

完璧なるこの黄金の日の静寂。
樫の古木の下に
現れるエリス、汝、丸き目の憩う娘よ。

樫の青は恋人たちのまどろみを写す。
汝の口に
籠る薔薇色の嘆息。

漁師は夜重き網を引き上げ
羊飼いは巧みに
群れを森の縁へ移動させる。

ああエリスよ、汝の日々の何と純なる。
青き静寂が
オリーブのむき出しの石垣に静かに沈む。

白髪の暗き歌声は消え去る。
金色のカヌーは
孤独な彼岸で、エリス、汝の心を揺り動かす。


2
静かな鐘がエリスの胸に
響く時
夜の頭は黒き枕に沈む。

青き野獣が
秘かに棘の叢で血を流し
青き樹が寂し気に立つ。

その木の青き果実は落ちた。
星と兆しは
夜の沼に静かに沈んだ。

丘の向こうはすでに冬。
青き鳩が
夜飲む氷の汗は

エリスの水晶の額から滲みでた。
神の黒き石垣に
絶えず響く孤独な風。

トラークル

閉じる コメント(3)

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すでに目を通されているかと存じますが、トラークルの色彩語に関しての考察がhttp://www2.plala.or.jp/gtrakl/t5.htmであるのを知り面白く読みました。それを読んで思ったのですが、病理学的な考察があればより興味深い詩人像が出てくるのではと思いましたが・・・。色の象徴性、イメージの喚起力は分かるのですが、執拗すぎるということで病理学現象がフト掠めたのです。

2007/7/29(日) 午前 1:16 緑の森

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早速ご紹介のサイトを斜め読みですが、見させていただきました。色彩語が頻繁に出てきて、特徴があり、ウィキペディアで画家ココシュカと交友が書いてありましたので、表現主義絵画を念頭に置きながら読んできました。早速私の初歩的な誤訳が目に付いたのも成果でした。丹念に辞書を駆使しなければいけません。有難うございました。動機が良くないかもしれませんが、退屈しないでドイツ語の初歩の知識を取り戻すにはうってつけの詩人です。この作業を続けたいと思います。

2007/7/29(日) 午前 9:58 [ fminorop34 ]

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なおちょっとずれますが、従来の形式性を維持していない詩を、音楽家がどう感じたかを調べてみました。エミリー・ディキンソンはテーマは異常ですが、形式へのこだわりがあり、作曲家が付曲しています。トラークルのような散文詩はどうかtrakl lied and song texts で検索しました。
http://www.recmusic.org/lieder/t/trakl/
ウェーベルン、ヒンデミットという「退廃芸術家」に作品がありました。インスピレイションを与えただけなのか、原詩を高めたのか一度聞いてみたいと思いました。

2007/7/29(日) 午前 10:02 [ fminorop34 ]


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