ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

ボストンの北

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ブルーベリー

「君は見ておくべきだよ。今日のことだけど
モーテンスンの牧場を通って村へ行く途中だった。
君の親指の先ほどもある大きなブルーベリー
本当に空色で、ずっしりとして、でかいバケツ
の中でゴロゴロ音がする、第一級の旬の上物だよ!
全部同時に育って、緑色は一つもなくて
熟した物もある!君はぜひ見に行くべきだよ!

「俺には分からんが、牧場のどのあたりかね?」

「森は切り取られたよ − えーと −
ニ年前だよ − いや! − そんな
最近ではなかったかな? − 次の秋には
火が出て壁のところまで焼き尽くした」

「えっ、それじゃあ藪が育つ暇がないよ。
ブルーベリーはいつもこうなのだから、でもね
どこの松の木陰にもそんな気配は
まるで無かったみたいだがなぁ、君は
牧場を焼き尽くしてシダ一本も
草の葉一枚残さずに、棒一本だって
ハイーッと君の周りにびっしり生えたとでも
手品師のトリックではあるまいし」

「灰のせいで実が太ったに違いない。
俺は時々食べてみたがススの味がした。
それでブルーベリーの表面は黒い。
空色も風のせいでかすんで
触ると手にススが付くけど
摘み取る作業者ほど黒くはないけど」

「モーテンスンはこのことを知っていると思うかい?」

「と思うけど、何もしないで、トウヒチョウが
ついばむに任せるだろう − 奴の性格を知っているだろう。
奴は自分の物だということで
俺達他人を閉め出したくはないのさ」

「君はローレンを見かけなかったかい?」

「それがうまいことに見かけたのだよ
俺が牧場の見えるところを通って
壁を超え、道に入ろうとしていたら
奴さんが通りかかったよ、扶養家族の
元気でお喋りの若いローレン一家とそろって
ローレンは父親らしくドライブにお出かけさ。

「奴は君を見たんだね?奴はどうした?眉をひそめていたかい?」

「奴はただうなずき会釈していただけだよ。
いつも出会うと礼儀正しいだろう。
だけど、大きなことを考えていた − 奴の目で分かる −
それは表れていたし、こんな風だったよ。
『俺はベリーをほっておいたが、思うに
熟しすぎた。責任は俺にある』」

「奴は俺が知っているなかでも始末な男だ」

「奴は始末に見えるが、若いローレン一家を
食わすのに金が要るのじゃないか?
彼は連中をベリーで育てたという話だぜ
まるで鳥だ。連中はたくさん貯蔵している。
連中はあれを年中食べて、残りを
店で売り、連中の靴でも買うだろう」

「連中の話にかまう奴はいない。結構な話じゃないか
自然が快く恵む物をただ頂戴し
鍬や鍬で無理矢理自然に助けてもらわない」

「君がいつまでも奴の挨拶が見られたらいいがね −
それに若い連中の態度もね!変わらない奴はいないし
連中は大真面目で気にしている。馬鹿らしい!」

「連中の半分でいいから俺が知っていたら
ベリーでなくても生えている場所
クランベリーの沼地やラズベリーの
石ころだらけの山の頂上、いつ出来るか。
ある日俺が連中に会ったが、皆花を一本ずつ
雨のように新鮮なベリーに挿していた。
ちょっと変な種類 − 名前は知らないと言っていた」

「前にも言ったけど、その後まもなく
俺はローレンを怒らせるところだった
奴をそこら中の人に連れ回し
収穫出来る果物がないかどうか
聞いてみた。こん畜生は言ったものさ
知っていたら言うとね。でも今年は悪かったと。
ベリーが少し採れたけど − もうなくなったとね。
奴は場所を明かさなかった。奴は続けた。
『たしか − たしか』− 出来る限り丁寧に。
奴はドアから奴の女房に話した『えーっと
メイム、ベリーが採れる場所なんて知らないよね?』
奴が真面目くさって言えるのはそこまでだった」

「奴が自然に生える実は全部自分の物と思っていたら
考え違いだ。一つ気晴らしに
今年はモーテンスンの牧場で採ってやろう。
朝元気でよければだが出かけて
太陽は照って暖かい。葡萄の樹は濡れているはず。
採ったのは昔のことで、忘れちまったな
昔はベリーを.採ったものだが。あたりを見まわし
地下の小人みたいに畑に隠れて
お互いの姿しか見えず、声しか聞こえなかったな
ただ君が大丈夫か、俺が鳥を巣から離しているか
と言い、俺がそれは君がやれと言えばだが。
『うんいるよ』悲しそうに鳥がぐるぐる
俺たちの周りを飛んだ。しばらく俺たちは
摘んだものさ。最後には君が一マイルも離れて
迷子になったのか不安になった。俺は君のいる
距離以上に大声を上げて分かったことだが
君の返事が小声で話すようだったよ −
君は俺のそばで立ち上がったよね」

「 俺達だけ楽しめる場所なんてないだろう −
ローレンの一家が分散したら、ありそうもない。
連中は明日あそこに来るか 、今晩かもしれない。
連中は愛想が良くはないだろう − 挨拶はするだろうけど −
自分たちが摘んでいるところで、どうみても
摘む権利のない人間にさ。でも俺達も文句は言えない。
雨降りの中にどんな様子だったか思い出してみろ
ベリーと幾重にもなった葉っぱの水が混じり
まるで二種類の宝石。泥棒の夢見る光景」

フロスト

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