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95.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ 〔ライプツィッヒ、1881年11月14日〕
ご報告しますが、わたしはこちらで一日中「ネーニー」を弾いていました。中断はありましたが、ひたすら退屈な日曜日を彼女のためにささげました。「ネーニー」は今わたしの一番の仲良しです。記憶と想像で弾いています。韻律に完全に合った音節に夢中になっています。あなたにお使えした6拍子のメトロノームに賛美の聖歌を唄い、あなたがさらに殖やしてくださった財産で大喜びしています。「ネーニー」はたんに聴いて、演奏したというだけではなく、体験といえるものです。あなたのくつろいだカールス・シュトラーセで最初に弾いてくださったのがよかったと思います。あの妙なる最初の印象はつぎつぎに聴いてもいつまでも残るでしょう。たとえ、ゲバントハウス(1)で演奏されなくても、わたしたち二人はそれをすでに聴いて知っているような気持ちになります。わたしたちが写して一、二度演奏したのがよかったのです。なんと生々しく記憶に残っているのでしょう。それぞれのパーツと見事に統一された全体。選ぶのに困ってしまいます。――でも、へ音の甘いアフロディテのパート、「猪が裂いた」のうっとりするような音節、女神が海から出るときの、波の三連音符、嬰へ音の素晴らしい変化、神々のシンコペイトされた嘆き、「美しきものが滅びることで(Dass das Schone vergehet )の歌詞での息もつかぬサスペンス。ここで静まります。いろいろ言いたくなりますが、とりわけ幸せな最後。ここはあらゆる賞賛を受けて当然です。違う声が登場するたびにぞくぞくします。見事に上り詰めて、ドミナントで留まります。
{楽譜挿入}「愛する者の口に(im Mund der Geliebten)」の歌詞のところで、さらに爽快な効果でニ短調に転じます。(みな間違っていると思います。わたしはこの場所をよく知りません。でもわたしの言っていることがお分りでしょう。これが素晴らしいことには賛成してくださるでしょう)。この低音部のへ音が勝利です。 さようなら、親愛なる方。わたしたちの間違いがあってもこんな美しい曲になったとすれば、あなたはなんと素晴らしい方なのでしょう。 このうんざりする世の中で、多くの人幸せをもたらされたなら、あなたの心は慰められるはずです。でも、わたしほどの幸せを受ける人はほとんどいないはずです。 忠実で淑やかなあなたのヘルツォーゲンベルゲより
(1) 委員会はピアノ・コンチェルトの公演を決定し、ブラームスは1882年の1月1日に演奏した。 |

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