ヘ短調作品34

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「今日の詩」はエミリー・ディキンソンの「嵐の夜」である。エミリーは同居した家族にも謎の女性であったから、エミリーの研究者が伝記とする資料は彼女の詩しかない。話者をエミー・ディキンソン自身とする傾向が一般的である。「今日の詩」は謎の女性の一面を垣間見たと思わせた詩である。ウェッブにも色々投稿がある。

人気のある解釈は、独身の彼女が性の悩みに悶えていたはずという前提に立つ。現代用語では確かにWild Nights! は(情熱的な)激しい夜!である。詩の最後の二行は「あなたと結ばれたら」と解釈でき、「性交」を暗示している。フロイドの亜流が荒稼ぎしているアメリカでは、抑圧された性欲が詩の形式をとったと結論される。

当たっているのかもしれないしが、アメリカ的な心理分析かもしれない。彼女は神の問題について読まれては困る詩を書いている。恋の詩も書いている。彼女をマサチューセッツの処女聖人に祭り上げる気はないが、ポルノ見すぎの現代人の解釈には気を付けるべきである。フロイト以前に生まれた女性、フロイトの荒唐無稽な暗示にかかってもいない女性に、フロイト理論を当てはめるのは気にいらない。ここは性的な含意はないという前提に立ってみた。

この簡潔極まりない詩は一詩節16音節であり俳句より短い。言葉の選び方に工夫があり、形式的には優れてはいるが、その簡潔さゆえに解釈は多様である。要するに、本人の内向的な性格もあるだろうが、嵐の夜にふと思い出した(女の)友人との再会を願うぐらいの詩と解釈できないものか。


Wild Nights! Wild Nights!

Wild Nights! Wild Nights!
Were I with thee,
Wild Nights should be
Our luxury!

Futile the winds
To a heart in port,
Done with the compass,
Done with the chart!

Rowing in Eden!
Ah! the sea!
Might I but moor
To-night in Thee!

Emily Dickinson.


嵐の夜!嵐の夜!

嵐の夜!嵐の夜!
あなたと過ごせたら
嵐の夜もなんと
素敵!

港に立つ心に
風は無意味
コンパスも
海図も!

エデンの園で漕ぐ
ああ!海!
今晩あなたと
繋がれたら!

エミリー・ディキンソン

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