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136.ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ [ライプツィヒ、1884年4月25日] 親愛なる友へ
あなたの代役になったエプシュタインの一割でも私が流暢でしたら、あなたの大変親切な手紙に答えるのにどれだけ書くことになるのでしょうか。至る所にある詰め篭と包装箱、ひっくり返った家財道具、最終コンサートの込み入った時間調整の責任を任されて、どうやって返事を書いたらよいのでしょう。
ヴィースバーデンという名前はライプツィッヒ子の耳にはまさに音楽的です。実際、健康で陽気な音楽好きの女たちの声、ハイBフラットのテノールを思い浮かべただ けでも、くらくらします。ヴィースバーデンの人たちが本当に私を待っているのかどうか分かったら何と素晴らしいのでしょう。私の大事な妻にとっても良い気候です。すべては動き出すと思います。明日引っ越す五年の賃貸契約の家、心残りのあるバッハ・フェラインと私をライプツィッヒに結びつけるあらゆる難しい糸、残された最後の時間の突進、もし ――もちろん多くの「もし」がありますが、これは後ほど考えることにします。あなたは夏にそこにいらしたので一つだけ伺います。合唱団では夏の休暇は取れるのでしょうか。ヴィースバーデンは温泉地ですから、おぼつかないような気がします。ベルヒテスガーデンの家は、そこで仕事をするのが念願でしたので、今売りたくはありません。あなたのご好意を立て続けの質問で迷惑をかけるよりは慎重なエンゲルマンに手紙を出すことにします。彼はよくヴィース バーデンに行きますし、今滞在中ですので、多少とも事情に明るいはずです。 ではケルンは無くなりましたか(1)。非常に残念です。私たちはあなたの隣人になれたのに。 気の毒なクリサンダーの不幸は考えられませんでしょう。彼の病気を知ったのが前の晩でしたので、私たちはこの愛すべき、善良で背の高い若者には会えません でした。そんなわけで、彼は病院で一人寂しく死にました。彼に合う長いベッドも無かったのです。つぎの日クリサンダーと過ごしましたが、シュピッタと私が 見ましたが、彼は依然として鉄のように頑健でした。体力を取り戻すためにベッドに横になっていましたが、非常に達者な競売人の話でわれわれを逆に慰めてく れました。彼には将来の計画が数々ありました。彼は夜に悲しい荷とともに去りました。息子を古い村の墓地に入れるために分不相応の金を使い、石をも泣かす 悲惨な状態におちいりました。この男は一体何でできているのでしょう――鉄と黄金。 私はある種の畏敬の念であなたの宛先、カールス・シュトラーセと書きました。ベートーベンのカンタータを所有されるのは羨ましい限りですが、あなたはこの二ヶ月間そちらでは、(きっと交響曲の作曲のため)あまり書かれていないものですから。私たちも宝物を持っていますが、ピアノが解体中で使えないものですから、充分楽しんではおりません。へ長調(2)は幸いにして今なお私たちの記憶に新鮮です。ジムロックは立派に約束を守ってくれました。私たちはあなたに心から感謝します。 妻はまだ咳をしておりますが、ほぼ元気そうに振る舞っております。丁重なあいさつをとのことです。 宛先はまだここです。 誠実なあなたのヘルツォーゲンベルクより (1) ブラームスはこのポストを断った。 (2) ヘ長調の交響曲。
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