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150.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ ライプツィッヒ、1885年1月5日 親愛なる友へ あなたのクリスマス・プレゼント、貴重な古い歌が昨日着きました。わたしたちの古いコピーを盗んだ人に感謝したい気持ちです。再びあなたから受け取る喜び を与えてくれました。新しいカバー――そのユニフォーム――をまとったわたしの旧友を見て感傷的になりました。そのせいで表紙からは他のものと区別できな いのです。――現代の発明は他のもそうですが不便ですね。 わたしたちの友人ヒルデブラントはわたしたちの意見を伝え、当地のブルックナー熱とわたしたちの反発について話してくれるはずです。彼がわたしたちに強制 種痘のように押しつけているからです。不完全な外面の下にある力を発見し、たぶん完全には発揮されていないものの、やはり存在し、関心と認識を惹く才能を 認める能力に欠けているという、棘のある批評――婉曲な嫌み――に耐えなければなりませんでした。わたしたちは芸術的な結果をすべてであるとは考えてはい ません。表現において充分に成功していようといまいと、隠れた活力を賛美します。理論上はたしかにその通りですが、実際にはこの活力の価値に依存します。 それが偉大なものでない限り、自分たちの旗をふるときにのみ美を見出すフィリシテ人の罵倒に、超然として身を任せるでしょう。わたしたちはあなたの支持が 欲しいのです。有り余る経験に基づき、賢者のあらゆる理論よりも、無知な人間の直感よりも価値がある、あなたの健全な見解をお聞きたいのです。そして、 知っている人、あなたはわたしたち無知な人間に同意されるでしょう。それこそわたしが知りたいことです。それは非常な助けになります。判断の高潔さが人の 裁判同様、芸術の領域においても貴重なものです。それは、わたしたちに過大な評価を恐れて正しい判断力を失った、狭量で臆病な観察者であるという印象を押 しつけています。 この手紙を許してください。冗長のようにみえますが、あなたに書いたのです。他の誰が希望する返事をくれますか。歌曲にはもう一度感謝します。もしブルックナーが、「花の冠(Kranze )」、「(Liebesbotschaft )」、「恋する女の手紙(Die Liebende schreibt )」、「黄昏(Abendd??mmerung )」(1)の中一曲でも書いていたら、隠された黄金を求めて彼の交響曲を5回でも、6回でも探し回ることでしょう。でも事実わたしが思うことは、このうち一つ書いた人なら、他の曲に欠点があろうはずはないのです。 さようなら。あなたの拷問者を恨まないでください。でもたとえ一語でも返事を下さい。――古くからのいつも更新される友情で。 あなたのE.ヘルツォーゲンベルクより {楽譜挿入} ひたすらDの6−4の和音に頼っています。若きヴォルフ(3)は彼の交響曲の汚名(あいにくそれが日の目を見る前にあなたは会えなかった)を魅力的な歌で挽回しました。 (1) ブラームス作曲。作品46第1曲、作品47第1曲と第5曲、作品49第5曲。 (2) ルードウィッヒ・テオドール・ゴウヴィ(Ludwig Theodor Gouvy, 1822-1898)、著名な作曲家。 (3 ヨハネス・ヴォルフ(Johannes Wolf, 1869―)、シュピッタの弟子。作曲を断念して、音楽史に転向した。ベルリン大学の助手になった。
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