ヘ短調作品34

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タナグラ人形 -- リルケ

イメージ 1

今日のリルケは "Tanagra" 「タナグラ」である。19世紀ヨーロッパのギリシャ熱にさらに拍車をかけたのが、ギリシャのタナグラという田舎で農夫が畑を耕していて発見した人形のような焼き物である。型に粘土を流し込み量産された人形は古代ギリシャの女神であるよりは、リアルに表現された古代ギリシャの普通の女性像である。彩色を施して今なお新鮮さを失わない愛らしい人形に当時の文化人は古代ギリシャに想像をかき立てられた。ウィキによれば、オスカー・ワイルドは彼の作中の少女に "Tanagra figurine" 「タナグラ人形のような少女」という形容をしたそうである。

リルケもその一人で、発掘された人形を「軽く焼かれた粘土は/今は太陽に焼かれている」と書き出している。そして古代の普通の女性は永遠の生命を得たかのように新鮮であるとこの詩で書いた、と解釈した。最近多少語学力がついたせいか、易しい詩か難しい詩かの判断は出来るようになった。この詩は易しい詩である。それでも、辞書に用例のない言葉の組み合わせがある。ネイティブあるいはちゃんとドイツ語を学習した人には辞書に載せるほどもないのか。それとも詩人はドイツ語を拡張したのか。私には分からない。

写真はルーブル・美術館にある「青衣の女性」"Dame en Bleu" "Lady in Blue"である。彼女は団扇を持っている。


Tanagra

Ein wenig gebrannter Erde,
die von großer Sonne gebrannt.
Als wäre die Gebärde
einer Mädchenhand
auf einmal nicht mehr vergangen;
ohne nach etwas zu langen
zu keinem Dinge hin,
aus ihrem Gefühle führend,
nur an sich selber rührend
wie eine Hand ans Kinn.

Wir heben und wir drehen
eine und eine Figur;
wir können fast verstehen
weshalb sie nicht vergehen, -
tiefer und wunderbarer
hängen an dem was war
und lächeln: ein wenig klarer
vielleicht als vor einem Jahr.

Rainer Maria Rilke


タナグラ人形

軽く焼かれた粘土は
今は太陽に焼かれる。
乙女の手のしぐさは
突如として、永遠の
生命をえたかのよう。
何か伸ばした手には
事実物がそこにあり
顎にふれる手のよう
彼女の感覚に従がい
それ自体に感動する。

像を個々に取り上げ
じっと見回してみる
像が永遠の命をえた
訳がよく理解できる―
奥が深くて素晴しく
過去と繋がっており
微笑む。一年前とも
ほぼ変わらぬ鮮明さ。

リルケ

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