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セイウチと大工 お日様はかがやいていたよ せいいっぱいね。 お日様はベストをつくし 海はあかるく、ないでいたよ− このお話は妙じゃない、なぜって 夜だもの。 お月さまもかがやいていたけど、ムッツリ なぜって、お月様は思うだろう 一日が終わったのだから お日様が出てこなくてもとね― 「でしゃばって楽しみを とるのは失礼ね!」とお月様。 海はせいいっぱい湿っていたし 砂もせいいっぱい乾いていた。 雲は見えなかった、なぜって 空には雲がなかったのさ。 見あげても鳥は飛んではいなかった― 鳥はいなかったのさ。 セイウチと大工は ならんで歩いていたよ。 二人はおいおい泣いていた こんなに砂が多いから。 「砂をどけてしまえば」 「いいんだけどな」と二人。 「女の子が七人ホウキもって 半年はいてくれたら きれいにしてくれるとは 思わないかい?」とセイウチ。 「どうかな」とつらそうに 涙をながした大工。 「カキだよ、いっしょに散歩しないかい!」 とさそうセイウチ。 「塩の浜にそって散歩し しゃべるのも楽しいよ。 手をつないで歩くのも 四人以上はムリだけど」 一ことも言わなかった。 としうえのカキはウィンクして おもい首を横にふった― このカキはカラをのこして 行きたくないと。 わかいカキが4匹よってきた。 みな楽しみたかった。 コートはブラシされ、顔は洗ってあるし 靴もきれいで、さっぱりしている― このお話は妙じゃない、なぜって カキには足がないだろう。 カキは4匹ついていったが さらにもう4匹も。 さいごには、カキがたくさん どんどん、どんどん― あわの波をとびはね 浜はおし合いへし合い。 一マイルばかり歩いたところで ちょうど腰を下ろすのに ほどよい岩で一休みした。 カキはみな一列にならび 立ったまま待っていたよ。 「さてと」とセイウチ 「いろいろお話しましょう。 浜―船―ろう― キャベツ―王様― 海がむし暑いわけ― 豚に羽根がついているか」 「ちょっと待って おしゃべりする前に わしらは太っている」と大声あげるカキ一同。 「あわてなさんな!」と大工。 大工にありがとうするカキ一同。 「パンが一個は ぜひともほしいのだが。 それにコショウとヴィネガーが あればサイコウ― カキさんたちよ、したくできたら いただきましよう」とセイウチ。 「ありませんよ」とカキ一同は 顔色かえて声をあげた。 「親切にされたあとで そんなのはいやだよ」 「きれいな夜」 「夜を見ませんかね?」とセイウチ。 「来ていただいてありがとう! みなさんはリッパ!」 大工はただ一言 「もう一切れほしいな− みなさん聞こえているかな― 二度もおねがいしたよ!」 「わるいね」 「みなを早く歩かせ こんな遠くまで連れてきて ふざけるのは」とセイウチ。 大工はただ一言 「バターはあつめにぬって!」 「お前さんはオキノドクだ」 「この人が流した 大きな涙のつぶ よく分かるよ ポケットのハンカチで 目をぬぐってさ」とセイウチ。 「カキさん」 「皆さん走って楽しかったでしょう!」 「戻りましょうか?」とセイウチ。 でも返事はなかった― このお話は妙じゃないよ、なぜって ぜんぶ食べちゃったもの。 ルイス・キャロル
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ルイス・キャロル
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