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229.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ [ウィーン、1888年10月] 親愛なる奥様へ あなたのお手紙はどれも受け取った人は大喜びし、当然返事を書きたくなる種類のものです。ですが、わたしの音符には「試作品」のレッテルが貼ってありませんでしたかな。ですから、今やっているのです。それに言わせていただきたいのですが、わたしが何をしようと、他人には怒る権利はないはずですし、私はこんな親切なご配慮をいただくに値しません。 それに、いつまでも傷ついた感じを持ち続けるでしょうから、考え始めない方がずっと良いです。 あなたは知るべきですし、信じるべきですが、あなたは――ご主人はよく分かっておられるはずです――口で言われる以上に好かれている数少ない一人なのです。それから、彼もこの数少ない一人です。 ところで、カール・シュピッテラー(1)がこの夏に彼の小包と手紙に返事がないといってこぼしています。それで彼はその後手紙を書いてはいないのです。シューベルトのソナタの論文(2)を送らせましょう。これは決して愚作ではありません。 つぎの小包の受け取りに詳細な返事を出すという意図はおそらく曲の性質から無理だと思われます。手紙がもし長ければ私はどんなにか喜ぶことでしょう。でも小言をいうことは何もないはずです。 私はニースもリビエラのフランス側も知りません。知っているのはイタリア側です。ニースはイタリアではないし、イタリア旅行には含まれてはいません。あまりに華やかすぎて私には無理です。 しかしあなたのそちらの滞在は、これまでの長期滞在のなかで一番楽しく陽気なものになると思います。 夏のすてきな計画を立ててください。可能ならば、美しいオーストリアを選んでください。この場合私はそちらに行きたいと思います。 大変誠実なあなたのJ.Br.より (1)カール・シュピッテラー( Karl Spitteler, 1845-)。スイスの詩人。Felix Tandem のペン・ネームで詩を発表し、1866年以来バーゼルで”Schweizerische Grenzpost”を編集した。ブラームスはウィドマンを通して知り合った。 (2)この論文は Grenzpost に登場し、後にシュピッテラーの著書 Lachend Wahrheiten に収録された。
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