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235.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ [ニース、1888年11月6日] 親愛なる友へ 懐かしいト長調(1)が今到着し、わたしは感動しました。あなたが結局怒ってはいないしるしです。大変感謝します。 ニ短調のソナタは暗譜でき大変喜んでおります。吸収して自己の物にし、陶酔して弾けるのは口では言えない喜びです。アマンダ・レントゲンとわたしは今日最終楽章もおぼえたことを確認し、互いに微笑みを交わしました。しかし、展開部でかなり混乱しました。どうか、シンコペイション(2)を見ていただけませんか。変ロ短調からです。とくに低音部が嬰ハ短調(3)のテーマになる小節です。その後の大きなクレシェンドでは理解できます。そこでは律動の揺れと広がりで助かります。でも嬰ハ短調のパートはフィドゥルに与えられる和声の重要な記号の位置がよくなくて複雑です。全体として見事で効果的な楽章のほんのシミに過ぎません。このあたりの小節には強い拍子の記号がないので、抑え続けるのに大変難儀します。どんな名バイオリニストでも同じだと思います。楽章の残りの響きが良いのにここだけ駄目なのは残念です。これは演奏家だけが理解できる話で、望ましくはないと思いませんか。 もう一つ提案があります。スケルツォの和音はピチカートにすべきです。響きが良くなります(4)。この部分は弓(arco)で演奏すると、この部分は抽象的になります。音符は聞こえるけど音がつながりません。楽章全体が複雑なのに、つながりを追うのが困難になります。わたしの和音にトップ記号を加えまと、非常に明快になります。ここカラバセルNO.27だったら、勝手なことしても構わないでしょう。 {楽譜挿入}(5) これをバイオリンに任せてしまうと暗くてはっきりしません。これをピチカートですれば音は現実味を増し、両方しても傷つきません。どうかピチカートに同意されるか知らせてください。それとも無意味と思われますか。 もう一度この見事な曲に感謝します。その美しさはわたしの前で充分に現れました。構成はますます目を見張るばかりです。このように美妙に凝縮されず、ロマネスク教会のファサードの様な比例関係を保っていなかったら、こんなに早く記憶できないでしょう。….. (6) (1)ブラームスはこの小包を第三番の手紙の前に発送している。 (2)作品108の28ページ。 (3)28ページの第1小節と第9小節。ブラームスはこの極度に難しい楽節を改めなかった。 (4)ブラームスはこの示唆に部分的に従った。反復部(20-21ページ)で、バイオリンの弦にはピッチカートが記され、一方ではバイオリニストは、弦は出来る限り広い音域で、もちろん弓で演奏するようレガート記号で指示される。 (5)17ページ第9小節。 (6)2枚目の便箋は紛失している。
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