ヘ短調作品34

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ヘルツォーゲンベルク書簡集

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237.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ニース、1888年11月8日]

 親愛なる友へ

 またまたお邪魔してすみませんが、第二主題に行く最初の「経過部」と後の平行楽節との乖離は意識的ですか、それとも偶然でしょうか。最初はこうでしたでしょう。

{楽譜挿入}(1)

そして二度目には変ロ長調の後はハ音が来て一貫するのですが、楽節はイ長調(2)で始まりますか。説明していただけますか。でもその前にフランクフルトに発送しなければいけないのですか。ヨアヒムがそぐに見ていたらねえ。音楽家のアマンダの前でヨアヒムにぜひ会いたいとも言えないし。

 もう一つ。フィナーレの6番目と7番目のバーでピアノ・パートの和声を変えますが、平行楽節(3)では変えていません。これはあなたに言おうと思いました。個人的にはフィドゥルのへ音の後には、増音された三連音が(へ音、イ音、嬰ハ音)続く方が、いつも間違っているように響くホ音よりも好きですし、安心しました。止めよと言われるまで、続けて演奏します。

{楽譜挿入}

わたしはフィナーレを演奏する度に絶望的に恋に落ちていきます。「風と嵐、雷と雹の音が鳴り響く(Wind und Strome, Donner und Hagel rauschen ihren Weg)。」(4) わたしはこのように元気に疾駆する曲を他に知りません。心の画像を固定し、芸術的な形式で構成するときにどんな気持ちだったのでしょう。最初の着想から現在の精巧な仕上げに至までの発展過程で、失われたものが何もないと感じるのは何と素晴らしいのでしょう。あらゆる自然の風味が残されており、すべての音符が傑作を構成するのに担当の役割を演じています。いかに偉大な作曲家といえども、抱いてきた光景が何度「霧の雲のように融けて、息のように消える」(5)のを見てきたことでしょう。でもこの曲は命の暖かみがあり、炎と活力に充ち、その訴え方は直接的で誠実であり、中間段階を意識させません。

 わたしに感じたまますべてを正しく話す雄弁の才があったら。この偉大で、この美しい作品はわたしたちの心を捉えました…(6)







(1)作品108の4ページ第12小節。

(2)10ページ第3小節。

(3)作品108の27ページ第3−4小節。

(4)ゲーテのDas G??ttliche。

(5)「メロディーのように(Wie Melodien zieht es)作品105第1曲」の引用。

(6)手紙は不備である。

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